本部船運営記。2016年第1レースは“Bambino”さんでした。
3月20日(日)は2016年HYCシリーズレースの開幕戦でした。約4か月ぶりのレースを待ちわびた20艇の会員艇とオープン参加の1艇の計21艇が海に乗り出していきました。天気は晴れ、風は北寄りで15~18ノット、波は1.5~2mの予報で、開幕戦にしては少々タフなコンディションです。コースは小戸沖から博多湾口の机島を時計回りに回ってくる約12マイルほど。今日の風ならば全体で2時間弱ほどでレース終了となるでしょう。午前10時に受付を終了してレース海面に向かいます。スタート前で16ノット前後の風があり、大型艇では8ノット前後の艇速が出ていますので接触や衝突事故がないように各艇しっかり艇をコントロールしています。最少艇26フィート、最大艇51フィートなのでまともにぶつかると大きなダメージが発生するので、各艇とも見張りをしっかりして慎重に走らせています。51フィートを筆頭に40フィートを超える大型艇8艇が、20フィート近い強風の中を全速でスタートしていくシーンはダイナミックで壮観でした。間に挟まれた小型艇はさぞかし緊張の連続だったことでしょう。
第1レースの本部船は“Bambino”チームに引き受けていただきました。うねりのある強風の海面でアウターマークを打ち本部船をアンカリングしてスタートに備えますが、結構船が揺れているので大変だったでしょう。設定したスタートラインは、風向に対して若干右上がり(本部船側有利)になっていましたが、アンカーの打ち直しも大変なのでこのままスタートさせます。5分前の信号が発せられると、やはり上スタートを狙って本部船側に集まってきます。4分前、1分前の信号が発せられると、本部船からライン中央部分に集中してラインの見通しができない状態になりました。11時ちょうどにスタート信号が発せられましたが、かすかに「長音二声」が聞こえたような気がしましたがはっきりしません。本部船は他のヨットのセールに隠れて見えません。10秒ほどそのまま走って本部船を見ると、しっかり「第1代表旗」が掲げられています。「ゼネリコ」です。ジャストスタートだったのに...と残念に思いながらベア、ジャイブして戻っていきました。前を行く大型艇も次々に引き返してきます。この海況の中を本部船も回答旗(延期信号)を掲げ、根性を出してアンカーを引き上げて本部船の位置を変えています。本当にご苦労様でした。11:12に回答旗が下り、11:13に5分前の信号が発せられました。11:18にスタート信号が発せられ、今度は「オールフェア」でいよいよ2016年第1レースがスタートしました。
通過地点の机島手前の「クタベ瀬黄色ブイ」まではスタボードタックの一本コースとなりスピード競争になりました。これまでのレースでは42フィートの“Humming birdⅤ”が先行するのが常でしたが、レースに本格初参戦の51フィートの“May be”はさすがに速く、ぐんぐんと加速して前に出ていきます。風速も20ノット前後となりMaxで26ノットまで吹き上がりました。黄色ブイの西側を通過して回航ポイントの机島を回ってジャイブ。風が若干東に振れたため帰りのレグもポートタックのクローズドリーチの一本コースとなりました。気合の入った何艇かは無謀にもジェネカー、スピンにチャレンジしたようですが、大半の艇はジブのみでダイナミックなセーリングを堪能しました。12:31:34に”May be”が余裕のファーストホーム。所要時間1時間13分34秒、平均艇速9.8ノット。2着が“Humming bird Ⅴ“、3着が“Second Love”、そして21着”Notari 3”が13:12:31に最終フィニッシュ。26フィートながらそれもシングルハンドでの完走です。平均艇速6.8ノットと大健闘でした。
“May be”は途中でブームバングが切れて応急修理をしたそうですが、その予備のハイテクシートも切れて大変だったようです。51フィートの巨大なメインセールのパワーは半端ないですね。こういう事情で本来の性能を引き出せなかったようです。何はともあれ、スタート時の接触・衝突もなく、深刻な艇体等のダメージもなく無事にレースが終了してほっとひと安心でした。また過酷な本部船運営を担当していただいた“Bambino”チームの皆さん、本当にお疲れ様でした。
[以下は本部船“Bambino”のNオーナーからのコメントです]
まだ少し肌寒い朝でしたが、よく晴れて2016年HYC初戦は いいレース日よりになりました。
昨年までレース受付時間は1時間でしたが、今年から30分短縮して9:30~10:00としましたが、9時過ぎには続々と各艇エントリーに来られ21艇がエントリーしました(オープン参加1艇含む)。初戦から幸先いい感じで良かったです。
9時にメンバーが集合して、マークブイや信号旗などの運営用品をヨットに積み込んで準備完了していたので、受付終了の10時過ぎにはBambinoで出航してレース海面に向かいました。北北東16knot~の風が吹いて白波がちらほらと上がってました。クルーの安全を確保しながらリミットマークを打ち、上に艇を廻しアンカーリング。30ft艇でアンカーリングするとかなり揺れてデッキの上ではしっかり何かを掴んでないと立てない状態でした。マークと見通しを確認すると、本船がかなり高くアンカーラインをギリギリまで伸ばし、風が少し振れましたが予定時刻も迫っていたこともありこれでスタートさせる事を決め、予定通り10:55に5分前の ホーンを鳴らしHYC旗を掲揚。4分前、1分前とカウントダウン。各艇の動きを見るとやはり本船が高いので上有利と判断した各艇が本部船寄りからのスタートを狙って密集してきました。スタート30秒前を過ぎると続々と本船側に艇が集中、5秒前を切った時点で何艇かラインを出ていますが、セールが重なって艇を特定できません。11:00のスタート合図後、ただちに「ゼネリコ」のホーン二声と第1代表旗を掲げる。強風下だったのでホーンが聞こえてない艇もあった様子。その後ゼネリコ旗を下して回答旗を上げ、即、「ライン打ち変え、アンカー上げろ!」。強風下、波でバウはかなり揺れて作業は難攻。クルー2人でアンカーを上げ、艇を廻して再度アンカーを打ち見通しの高さを確認。「回答旗下して1分後に5分前予告信号上げるぞ」。波で艇が凄く揺れる中、クルー全員作業をテキパキとこなしてくれて11:18に2回目のスタート。全艇オールフェアー、今度はうまくスタートできました。
風速は16~18knot、 あっという間に船影も小さくなって「先頭艇は1時間チョットで帰って来るぞ!」フィニッシュに備えてアンカーを上げ、ラインを短くしてアンカーリング。チョットだけ落ち着いた艇上でクルーに「お疲れ、みんな大丈夫や!」。するとクルーの1人が「すみませんチョットやばいです」、「え、お前何時から船酔いしとうとや」、「海上に出て直ぐからです」。はははっ、一同に笑いが出ました。そうこうする内にトップ艇が見え始めました。艇種が変わった51フィートの“May be”が1番でフィニッシュ。所要時間1時間13分、お見事でした。その後も続々と各艇フィニッシュして、最後の艇も2時間かからずにあっという間にレース終了。波で激しく揺れる中アンカーを上げてマークをピックアップ。クルーみんなの働きのお陰で無事運営を終えました。「お疲れ様でした、みんな ありがとう」。 - Bambino 沼田浩行-