お知らせ

「2017年クルーザー安全講習会」無事終了

2017年3月29日

万一の事故や緊急時の対応など、クルーザーを安全に運航するための知識と技術を習得することを目的に、博多湾をベースに活動する3つのヨットクラブ、玄海ヨットクラブ(GYC)、福岡ヨットクラブ(FYC)、博多ヨットクラブ(HYC)が合同で福岡市ヨットハーバー管理事務所の協力を得て実施している「クルーザー安全講習会」を3月26日(日)に開催しました。今年は福岡ヨットクラブが主管しました。クルーザーのオーナー、クルーの皆さん44名(内、HYC会員艇20艇)が参加されました。開講に先立ち主催者を代表して福岡ヨットクラブの沼田会長から挨拶がありました。

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講習会の午前の部はJSAF日本セーリング連盟外洋安全員会の大坪委員長から「クルーザーの安全対策について」の講話がありました。大坪委員長の講話も今年で4回目です。大坪氏は20歳からヨット(クルーザー)を始められ、30年間にわたってホームグランドである相模湾を中心に年間100日ほどヨットに乗られています。国内外のメジャーレースにも多数参加されており、国内ではジャパンカップやX-35全日本、Melges32全日本、大島レース、神子元島レース、パールレース、沖縄-東海レース、アリランレース、海外ではトランスパックレース、キーウェストレースウィーク、X-35World、Melges32Worldなど、インショア、ロングの経験も豊富です。今回の講習では、大坪氏がレースに参加する際にどのような安全対策を行っているか、自身の命を守るためには何が大切かなど、実体験に基づくお話が中心でしたので参加者も熱心に聞き入っていました。

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2012年~2014年に国内でヨットの死亡事故が頻発しましたが、すべて落水によるものでした。大坪氏も長いヨット生活の中で死亡事故をいろいろ聞いてきたが、落水以外の要因によるものは無かったそうです。ゆえに、「絶対に落水しないこと。落水したら終わりと思っている。」これを信条にしているとのことです。また2012年~2014年の落水死亡事故は、全員が60歳以上のベテラン者で、ベテランであるがゆえに慣れや過信があったのではないかと推測されていました。経験や知識は豊富でも加齢に伴う体力低下などを客観的に判断し、自らに真摯に向き合うことが大切です。今回の講習で特に心に響いたフレーズは、「自分を守るのは自分でしかない」、「安全は与えられるものものではない、自分たちで確立するもの」、「乗員個々人が安全に対しての高い意識を持ち続ける」、「慣れから来る油断に注意」、「死亡に至る事故はすべて落水から起こっている」、「最大の事故防止は落水しないこと」、「艇長の責任は重要」、「オーナーの責任も重要」で、「セーリングの基本は自然に対峙すること」を強く認識することです。

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落水しても無事に救助されることもありますが、そのためにはライフジャケット(救命胴衣)着用が不可欠です。いろいろなタイプがありますので、セーリングスタイルに合わせて適切なライフジャケットを選ぶことが大変重要です。最近は膨張式タイプが多く出回っていますが、いざという時に膨らまないこともあるので定期的な点検が不可欠です。実際に落水死亡事故で膨らんでいなかったケースもあるとのことです。それよりも落水しないことが一番です。そのためにはテザー(セーフティライン)で確実に船体と繋がっていることが大切です。そして、万一放り出されても身体が海中に没しないように船体の左右中央にクリップしておくことが大事です。両舷のデッキ上に這わせているジャックスティやライフラインにクリップしておくと、船体と繋がっていても身体は海の中ということになりますのでとても危険です。

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昼食後は福岡市消防局からの講話。福岡市民防災センターから講師を招き、低体温症と救命(胸骨圧迫-心臓マッサージ)のお話を聞きました。人の体温は一般的には37℃で、低体温とは軽度(35℃~32℃)、中等度(32℃~28℃)、高度(28℃以下)の状態です。軽度では震えが止まらない、筋肉が硬直し出す、無気力、呼吸が速くなるなどの症状が、中等度では錯乱状態に陥る、呼吸が遅くなる、不整脈が出だすなどの症状が、高度では意識がなくなる、呼吸が止まり出すなどの症状が現れます。対処法としては、軽度の場合は〇温かいものを飲ませる(ちょっと甘めがよい。アルコールは絶対にダメ)〇乾いた衣服に着替えさせる〇呼びかけを続ける。中等度、高度の場合は直ちに救命センターに搬送すること。救命では胸骨圧迫(心臓マッサージ)を習いました。意識がないときは迷わず「119番」通報をし、呼吸がないと判断した時はただちに心臓マッサージをする(3分が勝負!)胸骨の上から1分間に100回以上のペース(120回くらいがベスト)で行い、意識が戻ったら横向きにすることが大事。最後に人形を使った実技講習もありました。

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福岡海上保安部からは交通課主任航行管理官からプレジャーボートの海難防止についての講話がありました。全国の海難の状況、福岡海保管内における海難の実態、遵守事項、ライフジャケットの点検、もし事故が発生した時の対応について貴重なお話がありました。毎年3~5月の春季にはプレジャーボートによる事故が急増するとのこと。事故の種類別発生状況では機関故障、運航阻害(バッテリー過放電、燃料欠乏)、衝突が圧倒的に多いそうです。衝突はプレジャーボートと漁船が多いとのことです。福岡管内の海難事故ではプレジャーボート、漁船などの小型船舶が7~8割を占めているとのことです。万一事故が起きた場合、海保の取調べ、運輸調査委員による原因調査、海難審判による行政処分、怪我の治療、相手方の損害の補償、自船の修理と、多くの時間と労力を費やすことになります。法令に定める遵守事項は必ず守って事故を起こさないように、また事故に遭わないようにしましょう。平成30年2月1日以降、小型船舶の甲板上ではライフジャケットの着用が義務付けられ、34年2月1日からは違反点数の付与も開始されます。膨張式ライフジャケットのボンベ不具合による事故もあることから、ライフジャケットの日常点検も欠かさないようにしましょう。万一海上で事故が発生したらどうするか。直ちに人命の救助を行うとともに、「118番」やマリーナなどに事故の状況を正確に連絡しましょう。

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講習会の最後は、ポンツーンに係留しているヨットを使って、バウワーク時の注意点、テザー(セーフティライン)のクリップ位置などを大坪講師が実演して、第4回目のクルーザー安全講習会を終了しました。

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今年はGW期間中に日韓親善アリランレースがあるため、レース参加予定のヨットからも受講があり、皆さん一様に安全対策には万全を期そうと気持ちを新たにしました。ご協力いただいた関係機関・団体の皆様、本当にありがとうございました。

3月26日(日)開催「クルーザー安全講習会」へご参加ください

2017年3月04日

クルーザーヨットで海を楽しむ皆さん、安全への対策は万全ですか。一旦海に出ると安全には細心の注意を払っていても、天候の急変などにより避けがたい突発的な状況に遭遇することがあります。万一の事故や緊急時の対応など、クルーザーを「安全」に運航するための知識と技術を習得することを目的に、FYC福岡ヨットクラブ、GYC玄海ヨットクラブ、HYC博多ヨットクラブと福岡市ヨットハーバーが合同で「クルーザー安全講習会」を開催します。今年はFYC福岡ヨットクラブが主管します。

講習会の内容は、JSAF日本セーリング連盟外洋安全委員長の講話、福岡海上保安部による海の安全に関するお話、福岡市消防局による救急救命に関するお話と実技、落水者救助の実演など、万一の時に実際に役立つ内容ですので、一人でも多くの皆様の参加をお待ちしています。

1.開催日時  平成29年3月26日(日)10:00~16:30(予定) *受付は9:30から

2.場  所    福岡市ヨットハーバー(福岡市西区小戸) 2階 第2会議室

3.参加費        1,000円/1名  *昼食弁当を頼まれる方は別途500円(当日の受付時に申込み)

4.申込期限   平成29年3月21日(火)まで

5.申込み先  各所属ヨットクラブ

          または、福岡市ヨットハーバー管理事務所(担当:菅原 TEL 092-882-2151)

※ヨットクラブに加入していないクルーザーの方も歓迎しますので、ぜひこの機会に受講してください。

「2016クルーザー安全講習会」無事終了

2016年5月27日

博多湾をベースに活動する3つのヨットクラブ、玄海ヨットクラブ(GYC)、福岡ヨットクラブ(FYC)、博多 ヨットクラブ(HYC)が合同で福岡市ヨットハーバー管理事務所の協力を得て58日(日)に「クルーザー安全講習会」を開催しました。今年で3年連続3回目の開催、加えてゴールデンウィークの最終日ということも影響したのか参加者は若干少なめ。しかし、見かけない方が参加されているようで(私が知らないだけかもしれませんが)、安全に対する意識が広がりを見せているのかも知れません。クルーザーのオーナー、クルーの皆さん37名(内、HYC会員艇14艇)が参加されました。開講に先立ち、主催者を代表して玄海ヨットクラブの久芳副会長から挨拶がありました。

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講習会午前の部はお馴染み、JSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長から「クルーザーの安全対策について」と題しての講話です。3回目ということで最初は「落水しないこと」のおさらいからはじまりました。セーフティーラインの色々なフック形状や各々の特性、­­­そして使用方法。説明の中で「トップセーラーがバウ作業をするときに、両手で作業したいからセーフティラインを使って身体をしっかり固定する」との話がありました。確かに揺れるデッキ上でのバウマンの動きを後ろから見ているとヒヤヒヤです。うちのバウマンにもいつもハーネスとセーフティーラインを装着するように伝えたいと思います。

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次のテーマは落水の準備(?)と対処方法。先ずはライフジャケット。ライフジャケットもいろんな種類があり、それぞれ浮き方が異なります。「出場するレースによって使用するライフジャケットを選ぶ」ことは昨年も話がありましたが、今回はビデオ映像を見ながら実際の浮き方の違いについての説明がありました。低体温症対策として頭部をすっぽり覆い、自分の吐く息で体温低下を防ぐタイプや身体をしっかり浮かせるものなど、映像で見ると一目瞭然です。大坪委員長のようにレースや海域による使い分けも一つの方法かも知れませんが、高性能なライフジャケットをひとつ持つことも自分にとっての得策ではと思いながら映像を見ていました。また、二人以上での落水なら水の中での“密着”も低体温対策には有効だそうです。水中での押しくら饅頭です。これも映像で紹介されていました。なにより低体温症から守るためにはいち早く救助すること。そのための手段として落水者捜索機器があります。人工衛星経由で海上保安庁に遭難信号を送る「PLB」は昨年の法改正で国内使用が可能になりました。また「パーソナルAIS」は国際VHFを通して自艇や周辺のAIS搭載船舶に落水者の位置情報を発信、迅速に捜索可能にするもの。この2種は大きく異なる特徴のため、これも状況に応じた使い分けが必要です。大坪委員長の講話で何度も聞かれた「いくつかの方法を理解した上で、自分なりの最良の方法を探し使い分ける」という主旨の言葉がとても印象的でした。

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昼食後は福岡市消防局からの講話。午前中の話同様に低体温症の話から胸骨圧迫の救急救命法とAED使用の実技です。講師の救急救命士の方は「目の前に心肺停止の人がいたら勇気を持って心肺蘇生を行うこと」だそうです。その時、本当に勇気が出せるでしょうか?

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福岡海上保安部からは小型船舶の海難防止の講話です。機関等の点検の必要性や沿岸域情報提供システム(MICS)の有効活用についての案内があり、座学が終了しました。 

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外での実習は、信号弾の発射訓練とライフラフトの投下・展開・乗り移り。信号弾は前年小戸公園に飛び込んだ経緯もあり、今年は安全面を考慮して「信号紅炎」の着火実習のみの実施です。普通に着火する体験訓練が行われましたが、参加者からのリクエストで実際の使用状況に即して、着火で擦る部分が水で濡れた場合に着火できるかの実験も行われ、見事に着火しました。確かに濡れていたら使えないでは困りますね。

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今回の目玉のひとつ「ライフラフト」の投下等については残念ながら開かずに終了。かなり年数が経過していたためで、定期的な整備の必要性を痛感しました。教室に戻り、ビデオ映像で投下から展開・乗り込みまでの一連の流れが説明されました。

動画だとはわかり易く、理解度が向上します。ライフラフトや前述のライフジャケットについてはYou Tubeにアップされているそうで、一度ご覧ください。講習会に参加された皆さん、「安全」が一番です。今回の講習内容をいざというときに役立ててください。第3回「クルーザー安全講習会」は無事終了しました。関係団体・機関の皆様、ありがとうございました。

ライフラフト   https://www.youtube.com/watch?v=LjJgR0ndYbo

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最後に余談として、2017年アメリカズカップ本戦に向けた「ルイ・ヴィトンカップワールドシリーズ」の最終戦が、今年の秋に福岡で開催されることがどうやら決まったらしいとのお知らせがあり、今日一番の盛り上がりを見せました。あのめちゃめちゃかっこいいアメリカズカップ艇と世界の超一流のトップセーラーが博多湾に集結するなんて、夢のような話です。

「2015クルーザー安全講習会」無事終了

2015年4月17日

博多湾をベースに活動する3つのヨットクラブ、玄海ヨットクラブ(GYC)、福岡ヨットクラブ(FYC)、博多ヨットクラブ(HYC)と福岡市ヨットハーバー管理事務所が合同で4月12日(日)に「クルーザー安全講習会」を開催しました(10:00~15:30)。    ※写真は左から順に経過を表しています。また画像をクリックすると拡大します。

ここ数年クルーザーヨットからの落水事故が頻発しています。「落水」は「死亡」に直結するきわめて憂慮すべき事態ですので先ずは落水しないことが肝心です。昨年2014年にはJSAF日本セーリング連盟が把握している範囲で国内では5件の落水事故が発生しています。昨年8月には相模湾で開催されたヨットレースにおいて71歳のヘルムスマンが強風によるブローチングで落水するという事故が発生していますが幸いにも約2時間後に捜索活動中の巡視艇に救助されて一命を取り留めました。他の4件においても幸いにも無事に救助されていますが、いずれも自艇での救助はできていません。海では安全には細心の注意を払っていても避けがたい突発的な状況に遭遇することがあります。いざという時に適切な対応ができるか否かでダメージを最小限に食い止めることができます。日ごろから安全への配慮に心がけるとともに正しい知識を身に着けておくことが大切です。昨年に続き今年もJSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長を講師にお招きして、クルーザーのオーナー、クルー75名の皆様に参加いただき安全講習会を開催しました。今年は博多湾内だけではなく佐賀市や唐津市、福津市からも参加がありました。会場内の一角にはハーバー内マリンショップ・シップチャンドラーさんの協力で、ライフジャケット、短めのテザー(ハーネスライン)、ヒービングライン、エマージェンシーライト、シーマーカー(着色剤)、落水者引き上げ用のテークル装置など安全装備品を展示・紹介するコーナーも設置しました。開講に先立ち、主催者を代表してハーバー施設管理者の立場から福岡市ヨットハーバー管理事務所上野所長、続いてヨットクラブを代表してGYC玄海ヨットクラブ末松会長の挨拶がありました。

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午前の部は東京から来ていただいたJSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長から「安全意識と責任」「落水救助より落水しないこと」「ハーネステザーとライフジャケット」「最近の落水事故の実例」をテーマに講話をしていただきました。最近はレースやクルージングなど高齢者の割合が高く、航海術や操船技術の知識は豊富であるがとっさのときに頭では分かっていても体が付いて行かないという、加齢による体力の衰えを十分に認識しておくことも被害を防ぐために大切だとの話がありました。また安全訓練は事故後の対応であり、やはり事故前の対応(事故を起こさない対応)が重要であるとの話もありました。安全のためには帆走技術の向上が絶対のベースである、テザー(ハーネスライン)が船に繋がっていればいいというのは誤りで船の中に留まる(デッキから投げ出されない)ことが大事という話もありました。最後に各種テザー、ライフジャケット、落水者捜索機器の紹介と最近の落水事故の実例紹介がありました。

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午後からは福岡市消防局救急課の救急救命士を講師に「救急救命の現状と対応」「心肺停止」「低体温」「心臓マッサージ・人工呼吸・AED取扱い」「脳卒中」について話をしていただきました。講習の最後には参加者による心臓マッサージの実技指導もありました。

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続いて福岡海上保安部交通課の専門官から「落水事故」「遭難通報」「海上保安部の救助体制」「救助を待つ待機態勢」などについて話をしていただきました。事故に遭遇した時などの緊急通報では、通報手段として衛星携帯電話、船舶電話、国際VHFなどの通信機器があるが、ほとんどの皆さんが所持している「携帯電話」で「118番」をダイヤルすると海域を管轄する海上保安本部の指令センターに直接繋がります(福岡、佐賀、長崎、大分と山口の一部の海域は北九州市門司の第7管区海上保安本部)。携帯電話の通報が優れているのは発信者の位置が誤差5mほどで分かるため管轄する海上保安部(海上保安署)にただちに所要の態勢を指示することができます。荒れた海では巡視船・艇が直接ヨットに接舷することは極めて危険であるため、遭難者を救助するには通常はヘリコプターで行うとのこと。ただしヨットはマストや索具があるためヘリコプターから救助員を直接ヨット上に降ろすことができないなどの現場での苦労話もありました。何はともあれ「絶対に海に落ちてはダメ、海に落ちないようにすることが一番」ということでした。

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室内での座学はこれで終了し火せんや信号紅炎など信号弾の発射・点火訓練のためディンギーヤード突端の岸壁に移動しました。先ずは海上保安部員から信号の種類と点火の要領の説明があり、受講者が実際に手に取っていよいよ点火します。最初はパラシュートフレアを発射します。パーンという音とともに信号弾が勢いよく上空に飛び出していきました。次は信号紅炎に点火しました。安全備品としてヨットに装備している信号弾ですが、ほとんどの方が使ったことがなく皆さん熱心に見守っていました。

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最後に「落水者救助訓練」です。岸壁前のゲストポンツーンに係留した2艇のヨット(24フィート、33フィート)で落水が発生し、それぞれの方法でヨット上に引き上げる訓練を行いました。強風で波の高い海を帆走中に大きな横波を受けてヒールした際にクルーが落水したという想定のもとに落水者確保、引き上げまでの手順を実践しました。昨年は落水者役を元気のいい大学ヨット部の学生が務めましたが今年はよりリアル感を出すために50代男性と30代女性を起用しました。

1番艇は会員艇“Summertime”(24フィート)。落水者にライフスリングを投下しヨットに引き寄せて、4:1のテークルを組んだ引き上げ装置の一方の端をメインハリヤードに取り付けデッキ上2mほどの高さに固定し、反対側を落水者に取り付けて大人ひとりでテークルのロープを引き込んで吊り上げていく。かなり軽々と持ち上げることができました。

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2番艇は会員艇“Freestyle”(33フィート)。落水者にライフスリングを投下しヨットに引き寄せて、メインハリヤードを直接落水者に取り付けてスターン部から引き上げました。こちらも比較的楽に引き上げることができました。

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今回の安全講習会は「命」に関わることであり参加者全員が熱心に受講されていました。JSAF外洋安全委員長の話では「自分を守るのは自分でしかない」が大原則であり、海に落ちないこと、自分の今の体力を知っておくこと、消防救急課の話では心肺停止状態では素早い心臓マッサージ・人工呼吸を行うこと、低体温について理解しておくこと、「脳卒中」の疑いがあるときは時間が勝負なので躊躇せずに救急車を呼ぶこと、海上保安部の話では海に落ちないことが一番、遭難した時はすぐに118番に電話することなどがポイントでした。

クルーザー安全講習会の開催

2015年3月04日

ここ2、3年、ヨットからの落水事故が続き、昨年の8月には相模湾で行われた「トランス-サガミヨットレース」において強風下で71歳のヘルムスマンが落水して約1時間後に捜索中の巡視艇に無事救助されました。また今年の1月には博多湾内でヨットが座礁する事故も起きています。海では、安全には細心の注意を払っても避けがたい突発的な状況に遭遇することがあります。いざという時に適切な対応ができるか否かでダメージの程度も大きく変わってきます。

昨年に続き、博多湾をベースに活動するクルーザーヨットの団体(GYC玄海ヨットクラブ、FYC福岡ヨットクラブ、HYC博多ヨットクラブ)と福岡市ヨットハーバー管理事務所が合同で、海での安全意識の更なる徹底と、緊急時における対応などを主眼に安全講習会を開催いたします。

講習会の内容は、JSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長を講師にお迎えしての講話、福岡海上保安部による海の安全に関するお話、福岡市消防局による救急救命に関するお話と応急手当・人工呼吸の実技指導、火せんや信号紅炎などの信号弾の発射・点火訓練、ヨット2 艇を使った落水者救助のデモンストレーションなど。万一の時に実際に役立つ内容となっていますので、会員(オーナー)の皆様をはじめクルーメンバーの皆様にも声掛けをしていただき、一人でも多くの皆様にご参加いただきますようご案内申し上げます。

また、ヨットクラブに加盟していないクルーザーのオーナー、クルーの皆様にもこの機会にぜひともご参加いただきますようご案内します。受講を希望される方は、福岡市ヨットハーバー管理事務所(担当:菅原 TEL 092-882-2151)に直接お申込みください。

1.開催日時   平成27年4月12日(日)10:00~16:30(予定) *9:30~受付

2.場  所   福岡市ヨットハーバー セーリングハウス会議室

3.参 加 費   1,000円/1名  *昼食弁当を頼まれる方は別途500円

4.申込期限   4月5日(日)

5.申 込 先   各所属ヨットクラブ または 福岡市ヨットハーバー管理事務所(担当:菅原)

 

注意喚起!航行安全情報2

2015年2月16日

先月、1月4日(日)に会員艇“I号”が志賀島神社に初詣のため、午前10時過ぎにホームポートの福岡市ヨットハーバーを乗員3名で志賀島に向けて出港しました。この季節にしては珍しく快晴で風もなかったため機走(5ノットくらい)で、スキッパーもクルーも正月の話題など会話に花が咲き、のんびり気分のクルージングでした。よく走る航路であったためGPSもONにせず能古島を左に見て順調に走っていました。左前方に「亀瀬」の黄色のポールが見えていましたが特段心配もせずに横を通り過ぎようとしていたところ、突然ドーンという音とともに船体に衝撃が走り、船が止まってしまいました。

すぐに乗員の負傷の確認と浸水が発生していないかをチェックしましたが、幸いにも全員怪我もなく浸水もしていませんでした。改めて周りの海を見ると岩だらけで、もっと島から離すべきだったとスキッパーとして後悔しきりです。ギアを前・後進に入れて脱出を図りましたがガリガリいうばかりで動きません。仕方なくハーバー事務所に連絡してレスキュー艇に出動してもらい、何とか脱出することができました。現在“I号”は福岡市ヨットハーバーの修理ヤードに上架中で、キール、ラダーの損傷はもとより、浸水はしていませんでしたが内部フレームもダメージを受けており、修理には3か月近くかかるそうです。

「座礁位置図」を見ると分かるように、能古島東側の「亀瀬」周囲は水深が浅く、目印のポールの南側50m、東側80m以内は水深2m以下です。また亀瀬の岸側は水深1m以下の浅瀬です。当日はたまたま大潮の満潮時刻を過ぎたあたりだったので直ぐ近くまで寄れたのでしょうが、通常はヨットではそこまで近付くことはありません。日中であればポールを目安に100mは離し、特に夜間は灯りが点いていないので最新の注意を払いましょう。日頃から慣れ親しんだ博多湾ですが結構あちこちに浅瀬や暗礁が点在していますので、海図を確認して安全なクルージングやレースに心掛けましょう。

  〈会員艇“I号”座礁位置図〉

注意喚起!航行安全情報

2014年12月08日

11月16日のHYC第10レースにおいて、レース参加の“B艇”が「クタベ瀬灯浮標」近くの暗礁にキールを接触させる事故がありました。「クタベ瀬」そのものは洗岩の状態なので視認できますが、ちょうど灯浮標との間に海図で「水深2m」の暗礁が表示されており、そこにキールを「ゴツン」と当てたものです。当時の状況は、ポートタックのスタボードタックで走っていて(艇速6ノットほど)、灯浮標アプローチのためにタックしてスタボードタックになった瞬間に「ゴツン」とキールが暗礁に接触したものです。幸いにもタック直後の立ち上がりで艇速が2ノットほどだったため甚大な被害を被ることはありませんでしたが、艇速がタック前の6ノット前後だったならば相当ひどいことになっていたと思われます。“B艇”の喫水は「1.9m」ですがこういった場所には近付かない方が賢明でしょう。海底地形図でははっきり表示されていますが、「クタベ瀬灯浮標」から北東に90m位の所です。この灯浮標に東方向からアプローチする際にはくれぐれも注意してください。

この近辺では、2010年6月にHYC会員艇の“Z艇”が、「クタベ瀬」から北東方向に0.2マイルの位置にある「コクタベ礁」の暗礁に乗り上げました。この時は自力で離礁できましたがキールとラダーの下部を破損しています。ちなみに“Z艇”の喫水は「1.85m」です。

最近は喫水が2mを超えるヨットも多数ありますので必ず海図で確認するとともに、レースやクルージングなどでは十分に注意をしてください。海図上に接触地点の位置情報と状況を図示していますので、ぜひともご覧になってください。

  《クタベ瀬周辺状況図 pdf》

クルーザー安全講習会、無事終了

2014年4月18日

2012年から2013年にかけて国内においてクルーザーヨットからの落水による死亡事故が3件起きており、そのうち1件は福岡市ヨットハーバー(小戸)に係留しているヨットで、身近なヨット仲間の方が帰らぬ人となりました。ヨットに乗るものとしてこのことを大変重く受け止め、このような不幸な事故が起きないようにという思いでクルーザーヨットのクラブ団体である玄海ヨットクラブ(GYC)、福岡ヨットクラブ(FYC)、博多ヨットクラブ(HYC)が合同で、そして福岡市ヨットハーバー管理事務所の全面協力で4月13日(日)に「クルーザー安全講習会」を開催しました。当日は生憎の小雨交じりの寒い一日となりましたが、106名のオーナー・クルーの皆様にご参加いただきました。 ※写真は左から順に経過を表しています。また画像をクリックすると拡大します。

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主催団体を代表して玄海ヨットクラブ末松会長挨拶の後、午前中の2時間、東京から来ていただいたJSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長から「落水しないための対策、落水した場合の対応」をテーマに講話をしていただきました。「JSAF外洋特別規定2014-2015」を参考テキストに、艇長・オーナーの責任や艇と乗組員の安全確保、自分の身は自分で守ること、絶対に海に落ちないこと、自分の体力を再認識することの大切さなど、これまで自分では分かっているつもりでいたことを改めて確認することができました。落水対策ではご自身の豊富なレース参加経験をもとに安全ハーネスを留めるジャックステイの設置位置や安全ハーネスのフックの種類、ライフジャケットのいろいろなど実物を掲げて説明があり大変参考になりました。

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あまり目にすることのないライフラフト(救命いかだ)を膨張させて会場の玄関前に展示して、昼休み時間に受講者の皆さんに見学してもらいました。Second Loveさんから提供していただいた8人用のライフラフトの炭酸ガスボンベに繋がっているロープを一気に引っ張ると、ポンという音とともに一段目、二段目の気室が順次膨らみ始めました。一段目は5秒ほどで二段目も10秒ほどである程度膨らみました。最後に屋根部分がしっかり立ち上がるには数分を要しました。

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消防挨拶午後からは福岡市消防局救命課の救急救命士を講師に「応急手当やAEDの取扱い」、「低体温症」の話をしていただき、最後に受講者を見渡してかなり高齢化が進んでいる状況を鑑み「脳卒中」の話をしていただきました。

続いて福岡海上保安部の交通課、警備救難課から話をしていただきました。管内の海難事故の状況では、プレジャーボートの事故は「乗り上げ」が一番多く、博多湾内の能古島やアイランドシティの周囲が非常に多いとのことでした。意外にも湾奥の陸地に近いところで事故が起きています。ヨットでいつも近くを通っているので注意をしましょう。事故に遭遇した時などの緊急通報では、人命に関わることなので後々の事情聴取や書類作成などのことを考えずに、すぐに「国際VHF16チャンネル」や「携帯電話」で海上保安部に連絡を取っていただきたいとのこと。携帯電話は「118番」をダイヤルすると海域を管轄する海上保安本部の指令センターに直接繋がります(福岡、佐賀、長崎、大分、山口の一部の海域は北九州市門司の第7管区海上保安本部)。携帯電話の通報ではGPS機能のon,offに関わらずに発信者の位置が誤差10m以内で分かり、管轄する海上保安部(海上保安署)に所要の態勢を指示するようになっているとのこと。また落水者を引き上げる際に便利な手作りの簡易引き上げロープの見本の紹介もありました。室内での座学はこれで終了し、パラパラと小雨の降る中をディンギーヤード突端の岸壁に移動しました。

海保挨拶

海保講話1海保講話2海保講話3

 

 

 

 

 実技編の最初は火せんや信号紅炎など信号弾の発射・点火訓練です。先ずは海上保安部から信号の種類と点火の要領の説明があり、受講者が実際に手に取っていよいよ点火します。最初は火せんでパーンという音とともに信号弾が勢いよく上空(100m位の高さ)に飛び出し火炎を発しながら海に落ちていきました。火せん10本、パラシュートフレア(落下傘付信号弾・200m上昇)4本用意していましたが、ちょうど風が強くなってきたので海上保安部の判断で打上げを中止しました。信号紅炎は大丈夫なので受講者が交代で信号紅炎を点火しました。

信号弾訓練1

信号弾訓練2

信号弾訓練3信号弾訓練4

 

 

 

 

最後に今回のハイライトである「落水者救助訓練」です。岸壁前のゲストポンツーンに係留した3艇のヨット(25フィート、32フィート、40.7フィート)で落水が発生し、それぞれの方法でヨット上に引き上げる訓練を行いました。強風で波の高い海を帆走中、機帆走中に大きな横波を受けてヒールした際にクルーが落水したという想定のもとに落水者確保、引き上げまでの手順を実践しました。

1番艇(25フィート):落水者に救命浮環を投下しヨットに引き寄せて、フリーボードが比較的低いので大人二人がかりで舷側からの引き上げを試みるがなかなか引き上げられず、スターン部に移動して何とかヨット上に引き上げることができた。

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2番艇(32フィート):落水者にライフスリングを投下しヨットに引き寄せて、4:1のテークルを組んだ引き上げ装置の一方の端をメインハリヤードに取り付けデッキ上2.5~3mの高さに固定し、反対側を落水者に取り付けて大人ひとりでテークルのロープを引き込んで吊り上げていく。かなり軽々と持ち上げることができた。

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3番艇(40.7フィート):実際に2013年5月に対馬北方海上で起きた落水事故を再現する形で行った。当時は海象条件が急激に悪化して風速も35ノットを超え波も5m近くになってきたため、クルーがマストサイドに立ってメインセールを下す作業をしていたところ、大きな横波を受けて60°近く傾いて起き上がったときにマストサイドにいたクルーが見えなくなった。慌てて姿を探したところ、右舷デッキ上のジャックステイが舷側の外に伸び切っていて、そこに安全ハーネスが繋がっていたため海面を見るとクルーが落水して引きずられていた。デッキ上に腹ばいになってハーネスを掴んで必死に引き上げようとしたが体重と水の抵抗でまったく引き上げることができなかった。そのため別のロープを落水者に取り付けてジャックステイを切断してスターン部に移し、スターンから引き上げたが大人ふたりがかりでも相当困難でした。(※実際は何度試みても引き上げることができず、海上保安部のヘリコプターの到着を待ち、ロープを切断して海に流して後方の海面に待機していた救難隊員に確保されてヘリコプターに収容された。)

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最後に、サプライズでライフラフトへの乗り込みのパフォーマンスを行った。落水者役の大学ヨット部員が海に飛び込んでラフトへの乗り込みを行ったが、二気室のため高さがあるのと本人もライフジャケットをつけているため結構苦労していた。JSAF大坪氏は、海中からの乗り込みは大変なので、ヨットの上からラフトに飛び込むようにした方がよいとコメントされていました。

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今回の安全講習会は「命」にかかわることであり多くのオーナー、クルーの皆さんの関心も高く、座学、実技とも熱心に受講されていました。JSAF外洋安全委員長の話では「自分の身は自分で守ること」が大原則でありとにかく海に落ちないこと、自分の今の体力を知っておくこと、消防救命課の話では人工呼吸などの「応急手当」が非常に大切であること、「低体温症」への対応を理解しておくこと、おまけで「脳卒中」の疑いがあるときはすぐに救急車を呼ぶこと、海上保安部の話では運航するときは海図などで海域の状況を調べておくこと、緊急時には躊躇せずに「118番」に電話するなど海上保安部に連絡を取ることなどがポイントでした。

実技編では、大半の方が信号弾を実際に手に持つことが初めてであり、ましてや点火することなどここ何十年もなかったのでいい経験になったとの声が多く、落水者救助では3パターンの引き上げ方法を間近で見学することができて自分のヨットではどのようにしようかと考えるいい機会になったとの声が出ていました。今回落水者役をしていただいた日本経済大学、福岡歯科大学のヨット部の学生さん、寒い中を本当にお疲れ様でした。

なお「JSAF外洋特別規定2014-2015」は日本セーリング連盟外洋安全委員会のホームページからダウンロードできます。

 

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