「壱岐-福岡ヨットレース 2017」終了報告

2017年7月23日

7月17日の海の日、玄界灘に浮かぶ長崎県の離島、壱岐と福岡市を結ぶヨットレース「壱岐-福岡ヨットレース 2107」が開催され、梅雨前線の影響で全国的に大気が不安定な中、終始いい風に恵まれて快晴の玄界灘を23艇のヨットが疾走した。博多ヨットクラブ主催の壱岐レース、そもそもの始まりは1970年代の後半、夏になると海水浴などを目的に博多から壱岐を訪れるヨットの皆さんが、どうせ博多に帰るなら競争して帰ろうと、1978年に石田町の筒城浜海水浴場沖から小戸沖までをコースとして始まった。4年目からはコースを逆にして今日に至るが、博多ヨットクラブ創立40周年を迎える今年、もう少し遊び心のある楽しいレースにしようと内容を一新した。スタート前日に現地で前夜祭を行って参加艇間の交流を深め、合わせてお世話になる壱岐の皆さんとの触れ合いもできないかとレース委員の熊坂氏(Freestyle)を中心に検討を重ね、何度か壱岐に足を運んで壱岐市当局や観光連盟にレース開催趣旨を説明すると、ヨットレースは壱岐のイメージに合致し夏の風物詩になると賛同していただき、ヨットの係留などで協力いただいた。今回のレース参加は当初26艇。26フィートから51フィートまで、最新艇から船齢30年以上のオールドボートまで多彩な顔ぶれがエントリーしたが、3艇が出港当日になってエンジントラブルで参加を断念した。日常のメンテナンスは大事です。レースは不安だがなんだか前夜祭は楽しそうだと前夜祭だけの参加が5艇の計28艇が壱岐に集結した。16日(日)午後には各地から続々と郷ノ浦港に入港したが、これだけ多くのヨットが一堂に会するのは壱岐の歴史始まって以来とのこと。係留岸壁には「ヨットレース歓迎」ののぼり旗も設置され大会気分を盛り上げます。暑い太陽の日差し浴びながら海に飛び込むクルーもあっていよいよ夏本番といった感じでした。

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14時半からはクルーザーヨットに触れることのない壱岐の子供たち20名が桟橋係留の大型ヨットに乗船し、デッキやキャビンを見学した。各ヨットのメンバーも親切に対応し、ウインチやラット、コンパスなどの計器の働きを説明し、キャビンに入った子供たちがバウハッチから顔を出したり「お母さん、台所があるよ」、「ちゃんとトイレもあるよ」など、新しい発見に興味津々の様子だった。山田HYC会長は壱岐テーブルテレビの取材を受け、クラブの沿革や活動内容、今回のレース開催趣旨などを熱く話しました。

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さーあ、午後6時からはお待ちかねの前夜祭。5時過ぎ頃から会場の「あまごころ本舗」に各チームのメンバーが参集し始め、会場の入り口前では子供たちのダンスチーム「AMMERS」と玄海怒涛太鼓・子供チームの皆さんが熱い演技でお出迎え。ヨットメンバーの中には一緒に踊り出す者も出る始末。会場前にはレースを協賛していただいたマクラーレン福岡さんが赤色のスーパーカーを展示して、レース参加者の熱い視線を浴びていました。V8、3,800cc、ツインターボで570馬力。車両価格はなんと「数千万円」とのこと。レース参加賞として全艇にマクラーレンの素敵なキャップを提供いただいた。会場では夏らしく浴衣姿で参加の女性クルーが花を添えていました。定刻に前夜祭が開始され、山田HYC会長挨拶、中原壱岐市副市長歓迎挨拶、吉川レース委員長の競技上の注意の後、山本長崎県議会議員の発声で乾杯!乾杯のお酒はもちろん「壱岐焼酎」。麦焼酎発祥の地として「壱岐焼酎乾杯条例」を制定しているとのこと。各テーブルには刺身やサザエなど海の幸が盛られ、観光連盟さんから特別に提供いただいた「壱岐牛」や7つの蔵元から提供いただいた壱岐焼酎で歓談し、地元の玄海怒涛太鼓・大人チームの演奏で会場も大いに盛り上がりました。続いて参加チームの紹介があり、明日のレースの健闘に声援を送りました。来賓として出席いただいた長崎県壱岐振興局長、壱岐市議会副議長、観光連盟会長、壱岐交通社長、九州郵船壱岐支店の皆様とも話が弾み交流を深めることができました。最後にいただいた壱岐名物の「うに飯」も美味しかった。今回のレースを記念して作製した壱岐レースラベルの焼酎「酔っ人」も大好評でした。

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翌17日は朝6時半頃から焼酎を飲み過ぎて二日酔い気味のクルーも交えて続々と港に集合し、出港準備を整えて7時過ぎにはスタート海面に向かった。午前8時にスタート信号が発せられると34マイル彼方の博多湾を目指して熱い戦いが始まった。西寄りの風、8~18ノットと絶好のレースコンディション。スタートしてラムラインにコースを取ると、博多発のジェットフォイルが真正面から来るため、2マイルほどスタボードタックのクローズホールドで南下し、その後コースを東に取って博多に向けて一直線。九州郵船が運航する博多-壱岐航路のジェットフォイルやフェリーが近くを航行する中、各艇からは次々と色とりどりのジェネカー、スピンネーカーが上がり艇速もアップして豪快なセーリングが続きました。トップ艇の“May be”が11:49:45にフィニッシュ、所要時間3時間50分余りと非常に速いペースでした。最終艇は14:40:58にフィニッシュし、参加全艇が17時のタイムリミット内にフィニッシュして無事にレースが終了した。

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16時から小戸の福岡市ヨットハーバーで表彰式を行い、ご夫婦二人で参加の最小艇“Notari 3”が優勝の栄冠を手にした。優勝艇のY艇長に勝因を尋ねると、これまで博多ヨットクラブレースにはシングルハンドで参加していたが、今年から奥様が一緒に乗るようになり、奥様の支えが勝因だったと語っていました。スタート後、しばらく走って博多に針路を取るとアビームの風で、先行艇からは次々にスピン、ジェネカーが上がるが、初心者の奥様と二人だったので無理をせずしばらくジブで走り、烏帽子島近くで風が後ろに回ったので遅ればせながらスピンネーカーを上げて博多湾口の机島まで1本コースで走り、風がアビームになり風速も15ノット以上になってきたためジブにチェンジしてそのままフィニッシュラインを目指したとのこと。奥様と二人、無理をせず安定して走らせたことが結果として優勝に繋がったと本人もびっくりしていました。1位から3位までは壱岐市から立派なトロフィーが贈られ、それ以外にもBB賞や敢闘賞、飛び賞などで壱岐の海産物詰合せが贈られた。今回、壱岐側の連絡調整窓口としてお骨折りいただいた壱岐市観光連盟の松本事務局長も、HYC黒住副会長の“SIESTA”に同乗してヨットレース初体験。ヨットに乗るのは初めてだったが豪快なセーリングに興奮気味で、セールチェンジのときはシート操作の手伝いもして大満足の様子でした。表彰式では壱岐市長杯のプレゼンターも務めていただいた。

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カーボンマスト、カーボンセールに巨大なマストトップジェネカーを装備する最新艇もいる中、白いセールで夫婦二人で参加した26フィートの最小艇が優勝できることも博多ヨットクラブレースのユニークなところ。来年はもっと多くのヨットに参加していただき、夏の玄界灘を一緒に走りましょう。

壱岐と福岡市は古くから人と物の交流が盛んで、今回のレースで感じたことは壱岐はとてもフレンドリーで温かい人情味溢れる素敵な島でした。来年はもっと参加艇を増やして夏の玄界灘を代表するヨットレースに育てていきたいものです。壱岐は天然温泉の宿もあり、観光名所探訪や壱岐焼酎の蔵元見学、夏の海水浴と、楽しみ満載の島です。博多港からジェットフォイルで1時間ほどのとても近い島ですのでヨットレース以外でも訪ねてみたいですね。

最後に吉川レース委員長(May be)から一言。

069壱岐のスタート本部船を務めましたが、皆さんには大変ご迷惑をおかけしました。スタート付近の水深はそこら辺をかなり調べましたがどこも34mでした。最初にアンカーを打ったのですがどこまで下がっても効かず、そのうちアンカーロープが外れてしまいました。二度目も同じく60mのロープと5mのチェーンで流したのですがまったく効かず、時間切れとなりエンジンで何とか位置をキープしようと苦心しましたが潮が強く流れてしまい、スタートラインを安定させきれないままのスタートとなりました。

070またフィニッシュ本部船についても11時頃に“ななくま”のエンジンがかからないのでインフレータブルボートに変更させて欲しいとの連絡がありました。フィニッシュ位置が帆走指示書に示した位置と変わらなければ仕方がない旨を本部船に伝えました。しかし結果的には小さな本部船を見つけられずに通り過ぎた艇もあったようです。皆様には本当にご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。


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