「壱岐-福岡ヨットレース 2018」終了報告

2018年7月25日

7月16日の海の日、玄界灘に浮かぶ長崎県の離島、壱岐と福岡市を結ぶヨットレース「壱岐-福岡ヨットレース 2108」が開催されました。40年近く続いた博多-壱岐間のレースを、昨年、壱岐市ならびに壱岐市観光連盟の後援を得て壱岐スタート博多湾フィニッシュとし、前日には前夜祭を開催してレース参加者や壱岐の皆様との交流を図るなど大会内容をリニューアルし、今年は2回目の大会でした。北部九州は今年は早々と7月9日には梅雨が明け、心配していた台風8号も九州への直接的な影響もなく、炎天下の玄界灘を32艇のヨットが博多湾のゴールを目指しましたが、早朝の濃霧の発生でスタート時間が1時間30分遅れたことと、強い高気圧が居座って微風・軽風下のレースとなったことにより、午後5時のタイムリミットまでに1艇もフィニッシュできなかったためノーレースとなりました。

昨年の第1回大会は23艇の参加がありましたが、今年は北九州市の新門司マリーナや山口県の室津、大分県の別府などからも参加があり、昨年を大きく上回る32艇のヨットが壱岐・郷ノ浦に集結しました。昨年は市営浮桟橋を1基しか使えず、少し離れた漁港と2か所に分散しての係留でしたが、今年は郷ノ浦港内の市営浮桟橋3基を全面的に利用できるようになりました。ただし、1基は水深が2m、他の2基は6mで全長25フィートから51フィートまで30艇を超えるクルーザーヨットを係留するのに気を遣いました。そのため、レース参加艇が入港する15日(日)の前日14日(土)にレース委員会の現地運営メンバー(ヨット“翔風”、“ZEPHYRUS”)が先乗りして、係留誘導と前夜祭会場との打ち合わせに奔走しました。係留岸壁には「ヨットレース歓迎」のぼり旗も設置され大会気分を盛り上げます。15日(日)昼前から各地から続々と郷ノ浦港に入港しましたが、壱岐の手前で強い逆潮に手こずったり、炎天下の高温でエンジンがオーバーヒート気味になったりで入港予定時刻が大幅に遅れるヨットもあり、係留誘導メンバーも炎天下で1日待機するなど結構大変でした。しかしながらこの係留地にこれだけのクルーザーヨットが一堂に会するのは初めてとあって、島の皆様も見学に訪れていました。入港したヨットの中には、あまりの暑さに涼を求めて海に飛び込むクルーもいて、これぞ夏の壱岐といった風情を醸し出していました。

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14時半からはクルーザーヨットに触れることのない壱岐の子供たちと保護者12名が3隻のヨットに分乗して、1時間ほどの体験セーリングに出港していきました。帰ってきた子供たちに感想を聞くと、初めてヨットに乗った、とても楽しかったと目を輝かしていました。

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さーあ、午後6時からはお待ちかねの前夜祭。5時過ぎ頃から会場の「あまごころ本舗」に各チームのメンバーが参集し始め、会場の入り口前では郷ノ浦中学校吹奏楽部の生徒さんたちが歓迎の演奏を披露してレース参加者をお出迎え。島の皆様の温かいおもてなしに感謝です。レース主催者の山田HYC会長の到着が遅れたため、初めに吉川レース委員長から競技上の注意事項の説明がありました。今回優勝艇に「壱岐市長杯」が授与されることになり市長杯の紹介の後、山田HYC会長挨拶、中原壱岐市副市長歓迎挨拶、山本長崎県議会議員の発声で乾杯!乾杯のお酒はもちろん「壱岐焼酎」。麦焼酎発祥の地として「壱岐焼酎乾杯条例」を制定しているとのこと。各テーブルには刺身やサザエなど海の幸が盛られ、壱岐市さんから特別に提供いただいた100g1,000円以上はする「壱岐牛25㎏」や7つの蔵元から提供いただいた自慢の壱岐焼酎で歓談し、アトラクションとして地元フラダンスチームのフラダンスショーが披露され会場も大いに盛り上がりました。続いて参加チームの紹介があり、明日のレースの健闘に声援を送りました。来賓として出席いただいた長崎県壱岐振興局長、壱岐市議会副議長、観光連盟会長、九州郵船壱岐支店長の皆様とも話が弾み交流を深めることができました。今回のレースを記念して作製した壱岐レースラベルの記念焼酎「酔っ人」も大好評でした。

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061翌16日のレース当日の朝、壱岐は想定外の濃い霧に包まれ、6時半過ぎの時点で係留地の視界は50mほど。8時のスタートのために7時過ぎから出港の予定だったがこの状態では出港もままならず、安全最優先でスタート時刻を1時間遅らせて午前9時として参加各艇に通知し、九州郵船、唐津海上保安部、漁協など関係方面に連絡したところ、午前8時55分郷ノ浦発博多行の高速船(ジェットフォイル)があることからさらに30分遅らせて午前9時30分スタートと決定しました。これに合わせて、フィニッシュラインも当初の小戸沖から6マイルほど短縮して博多湾入り口の玄界島と机島を結ぶラインとしました。7時半、8時と時間の経過とともに気温も上がり、直ぐ前の対岸も見えない状態だったのが徐々に霧も晴れていきました。時間待ちの間、各艇ではレースに備えてセールのセットや艤装のチェックに余念がありません。戦いに赴く前のこの緊張感が実に心地よいですね。またドローンを飛ばして空撮を楽しんでいるオーナーもいました。8時半になると2マイルほど沖合の赤い航路ブイも視認できるようになり、8時50分頃から参加艇も次々に舫いを解いてスタート海面に向けて出港して行きました。

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気象予報では北西の風、朝の内は2~3ノット、昼頃からは8ノット前後の風とあり、スタート海面では2ノット前後の弱い風で、艇速も2ノット前後と艇のコントロールに苦労します。午前9時30分にスタート信号が発せられるも、本部船から無情にも「長音二声」が発せられ「第一代表旗」が掲げられてゼネリコ。スタート時刻が大幅に遅れたこともあり、皆さん気持ちがあせっていたのでしょうか。微風のゼネリコはなかなかしんどいものですが、全艇がスタートライン近くにいたため、10分後の9時40分の再スタートはオールフェアでいよいよ博多湾に向けてレースがスタート。九州郵船の高速船やフェリーの航路を邪魔しないように、スタートしてから1.5マイルほどスタボードタックのクローズホールド、クローズリーチで南進して、フィニッシュの博多湾口の玄界島に変針です。風速も4、5ノットに上がり各艇からは色とりどりのジェネカーやスピンネーカーが次々に上がります。西寄りの風なので、フィニッシュまではフリー帆走の一本コースで約27マイル。何とか風が落ちないように祈るばかりです。昨年は10~18ノットの風に恵まれコース短縮もなく早いレース展開でしたが、今年は一時的に8~9ノットの風が吹くも昼過ぎからは徐々に風が落ちていき、1~2ノットの風に終始して無風状態も度々出現するなど苦戦し、結果として午後5時のタイムリミットにフィニッシュできた艇が1艇もなくノーレースとなりました。

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午後6時から小戸の福岡市ヨットハーバーで表彰式を行う予定でしたがノーレースとなったため、表彰式で壱岐市長杯を授与するために午後のジェットフォイルで壱岐より駆けつけていただいた中原壱岐市副市長をお迎えして6時45分から閉会式を行いました。中原副市長からは、風が無くて残念な結果となったが用意した「壱岐市長杯」は来年に持ち越してぜひこの市長杯を獲得していただきたい、来年は今年以上に40艇、50艇の参加をお待ちしていますと熱いエールを送っていただきました。また、1位~3位までのクリスタルトロフィーも来年に持ち越しとなりました。入賞艇に送る副賞商品として壱岐の海産物等の詰合せも多数用意していたため、県外からの参加艇には無条件に贈呈し、他の商品は中原副市長と参加艇の代表者とのじゃんけん大会で当選者を決めました。

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今回も準備の段階から本番まで、壱岐市ならびに壱岐市観光連盟様には大変お世話になりました。無事にレースがスタートできましたのも皆様のご尽力の賜物と深く感謝申し上げます。運営メンバーはもとよりレース参加者も心より楽しめました。壱岐は博多港からジェットフォイルで1時間ほどのとても近い島で、天然温泉の宿もあり、観光名所探訪や壱岐焼酎の蔵元見学、夏の海水浴と、楽しみ満載の島です。ヨットレース以外でもぜひ訪ねてみたいですね。今年の大会には、レース取材のため㈱舵社のKazi編集部から担当者が参加艇の“K.CONTESSA 風と虹”に乗船していましたが、ノーレースとなり結果が出なくて残念でした。

最後に吉川レース委員長(May be)から一言。

まさかの霧と九州郵船のクレームで9時30分のスタートしかできず残念でした。スタートで皆さん張り切りすぎてゼネリコになり接触した音も聞こえていました。さすがに二度目は皆さんおとなしくなりオールクリアーでした。終始風が弱く心配していましたが最後は無風になり誰もフィニッシュできませんでした。夏のレースということでノーレースもありかと想像はしていましたが、やはり熱中症とかの心配や風向、風速を考慮すると美味しい魚の時期である秋の開催もありかと考えます。検討してみたいです。


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