高木 裕メモリアルヨットレース報告

2019年7月19日

7月15日「海の日」。ちょうど1年前の7月16日「海の日」に、プロセーラー高木 裕氏がご逝去されました。一周忌にあたる本日、高木氏を偲ぶために日頃から何かとアドバイスをいただいていた福岡ヨットクラブ、博多ヨットクラブ共催で、博多ヨットクラブの定例の第5レースを「メモリアルヨットレース」として開催しました。

福博の町は夏の到来を告げる「博多祇園山笠」の最終日。7月15日はフィナーレを飾る「追い山」が早朝に行われました。オーナー、クルーの中にも「山のぼせ」さんが沢山いて、追い山に出て眠い目をこすりながらハーバーに駆け付けた方が何人もいたようです。福岡地方は梅雨の真っ最中、しかしながら本日は奇跡的に朝から晴れ間が広がり絶好のレース日和となりました。小戸ヨットハーバークラブハウス2階のレース受付には高木氏の遺影を飾り、皆さん哀悼の意を表されていました。高木氏の母校である福岡大学ヨット部のご厚意により、本日の本部船は同部のレスキュー艇“ななくま”を使用させていただき、後輩のヨット部の学生も運営に協力していただきました。

8:30にはクラブの会長、レース委員長など役員が参集し、本日のレースコースをどうするか協議しました。気象予報では、北のち北北東の風、風速8~12ノットで絶好のコンディションが予想され、本来ならば沖合いの玄界島を一周するコースにしたいところですが、メモリアルレースとあって、普段レースには出ていないヨットの参加も見込まれたため、なるべく短いコース設定を考え、湾口のクタベ瀬ブイを時計回りで回る12マイルのコースに決定しました。9:00前から続々とエントリーが続き、両クラブ加盟で普段からレースに参加しているヨット以外にも、ブルーウォーター派のヨット4艇もエントリーされ、最終的に26艇の参加がありました。参加艇には高木氏のイラストを配した黄色の記念フラッグを渡し、ヨットのスターン部に掲げてレースに臨んでいただくようにお願いしました。

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今日は七帝戦(旧帝国大学ヨット部の定期戦)の最終日とあって、小戸沖はディンギーや観覧艇が出て大変賑やかです。レースの邪魔をしないように、かなり沖合にアウターマークを設置してスタートラインを設定しました。北の風なので、ちょうど回航ポイントのクタベ瀬方向(ちょっと右寄り)からの風となり、いいスタートができそうです。本部船をアンカリングして黄色の記念フラッグを掲揚し、本部船の周囲を参加艇が通過するのに合わせて、後輩のヨット部員が高木氏の遺影を高く掲げていました。10:40 頃から参加全艇が本部船に近くに集まってきて、スタートの15分前、10:45に本部船から長音信号を1分間発し、参加者全員で高木氏を追悼しました。

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追悼が終わると参加艇は次々にジブセールを上げて、スタートに備えて散って行きました。風は北で10ノット前後で安定しており、いいスタートシーンが展開されることでしょう。10:55に予告信号、10:56に準備信号を発すると、参加艇も次第にヒートアップしてきました。3分前には各艇ともスタートアプローチの態勢となり、1分前にはスタートライン沿いにきれいに一列に並んでいきます。大学ヨット部で活躍されたOBの皆さんがオーナーやスキッパーとして乗っているヨットもかなりあり(OBといっても皆さん還暦前後のお歳を召されていますが)、本部船から見ているとリコールしないかと冷や冷やし通しでしたが、11:00のスタート信号前にラインから出たヨットは1艇もなく、見事なスタートでした。本部船からスタートシーンを見守っていた高木氏も満足されていたことでしょう。

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スタート後も風は安定しており、少し風速が上がったようです。沖合いでは15ノットくらいは吹いているでしょう。この風では、2艇の50フィート艇は1時間半ほどで帰ってくるでしょう。また後続艇も競り合って帰ってくるでしょうから、フィニッシュタイム取りも忙しくなりそうです。双眼鏡で確認すると、11:50にはクタベ瀬横の机島辺りにヨットのジェネカーらしきものが確認できます。それぞれ黒と白のようですのできっと2艇の50フィート艇、“May be”と“K.CONTESSA 風と虹”でしょう。さすがに速いです。それから10分ほど後にはジェネカーやスピンが沢山見え出しました。かなり早いレース展開です。ちょうど真後ろ近い方向からの風なので、ジェネカー艇は真っ直ぐにフィニッシュラインには向かえず必ずジャイブが入ります。スピン艇はうまく艇をコントロールしながら真っ直ぐフィニッシュラインを目指してきます。トップの2艇の50フィート艇がポートタックですぐそこの能古島に掛かってきました。“May be”が2艇身ほど先行しています。すぐ後ろに“K.CONTESSA 風と虹”が追走しており、先にジャイブ行動を起こしました。“May be”はジャイブがやや遅れたため、どうやらトップが入れ替わったようです。そのまま僅差でフィニッシュラインを横切りましたが、12:28:17に1秒差で“K.CONTESSA 風と虹”に軍配が上がりました。お見事!本部船で見ていた我々も、手に汗握る接戦に感動しました。4着の“Second Love”と5着の“Humming bird Ⅴ”も3秒差と、全体的に接戦が繰り広げられ、参加艇の皆さんも存分に楽しんだことでしょう。13:54:48に最終艇“ソフィー”がフィニッシュして、本日の『高木 裕メモリアルヨットレース』は無事に終了しました。修正では7着の“Bambino”が1位、11着の“GALAXY”が2位となりましたが、両艇とも福大ヨット部OBが乗艇しており、本部船からレースを見守り続けた高木氏も、さぞかし満足されたことでしょう。

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福岡ヨットクラブや博多ヨットクラブが主催するレースには“Humming bird Ⅴ”のスキッパーとして乗艇し、その優れたセーリングパフォーマンスを如何なく発揮されて、他のヨットの刺激となっていました。また博多ヨットクラブが主催するセーリング講習会では毎回講師役を引き受けていただき、セールトリムやヘルムコントロール、タック、ジャイブ、スピン(ジェネカー)ホイスト・ドロップ、レーシングタクティクスなど、初心者にも分かり易く解説していただき、参加されたヨットは随分とレベルアップしました。高木氏が監修している舵社から刊行されている「虎の巻シリーズ(クルーワーク、セールトリム、レーシングタクティクス)」は、今でもバイブルとして何度も読み返しています。温厚な人柄で誰からも好かれ、内に秘めたセーリングへの熱い情熱は、博多のセーラーの心も熱くさせてくれました。享年58歳。あと10年、20年は活躍されて欲しかったです。本当に残念でなりません。これからも博多湾でセーリングする我々を温かく見守ってください。


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