本部船運営記。2015年第10レースは“麻里絵”さんでした。
2015年11月15日(日)の第10レースは今季最終戦で“麻里絵”チームに本部船を担当していただきました。Yオーナーの友人の“Dragon Queen”Kオーナーが、本部船は自分のヨットを出していいよとのことで、運営メンバーは“麻里絵”メンバーが2人乗り込みKオーナーと一緒に本部船を運営し、“麻里絵”自体はレースに参戦しました。天気の予報は曇りから晴れでしたが、朝8時頃に急に空が暗くなって雨が降り出しましたがすぐに降り止み、空には晴れ間も出てきました。風の予報は北~北北東、4~8ノットと、11月としては少し弱いようですが晩秋の穏やかな博多湾での今季最終戦、セーリングを楽しみましょう。
8時過ぎには本部船メンバーが集合し、吉川レース委員長と相談のうえ、博多湾口の机島を時計回りに回航するコースに決定。マークブイや信号旗などの運営用品を本部船に積み込み、9時からのレース参加受付に備えます。今季最終戦で天気もまあまあということで9時半には20艇が受付を済ませ、最終的に22艇の参加となりました。今日は先日新しい艇(sprint51)になった“May be”が初めてセールを上げてテストセーリングを兼ねたレース参加ということで、その走りに注目です。
10時過ぎに出港してスタートライン設置に向かい、リミットマークを打ったところで何やらトラブルのようです。どうやらマークのアンカーラインが船外機のペラに絡まったようです。なんとか解消して本部船のアンカリングポイントに向かい一旦はアンカーを打ちますが、22艇の参加に対してスタートラインが短かったようで、アンカーを打ち直してラインを伸ばしました。なかなか風速が上がらず艇速も出ないので各艇苦労しているようです。10:55分に予告信号が発せられ、10:56に準備信号、そして11:00にスタート信号が発せられました。しかしながら1分前くらいからスタートライン上に多数のヨットが並び、明らかにラインから出ているヨットもありますが風が弱いため戻るに戻れない状況で、おまけにライン上にセールが重なって本部船からリミットマークが見通せない状況になったため、やむなく今季初めてのゼネリコの信号が発せられました。通常だとゼネリコの場合は10分後に再スタートですが、風が弱くて再スタートの体制が整わないとの本部船の判断で、20分後の11:20に次のスタートになりました。この判断が見事に的中して徐々に風速が上がり出し、再スタート時には6~8ノットとなりオールフェアで今季最終戦の幕が切って落とされました。机島まではスタボードタックのクローズホールド、島を回航してからは風が若干東に振れてポートタックのクローズリーチ、ぎりぎりジェネカー、スピンが上がらない状況でしたが、その内風が後ろに回り、待ってましたとばかりに各艇からジェネカー、スピンネーカーが次々に上がっていきます。風速も10~15ノットに安定し、青空のもと最終戦に相応しい豪快なセーリングを堪能しました。トップ艇が12:55:49にフィニッシュし、順風の中、後続艇も続々とフィニッシュし、最終艇が13:51:39にフィニッシュして全体で2時間ほどで無事に最終戦が終了しました。
今日は、たまたま前日から博多港に初めて入港していたセールトレーニングシップ、帆船“みらいへ”(1993年に大阪市が建造した全長52m、230トンの3本マストスクーナー、旧“あこがれ”)が招待客を乗せて博多湾内をセーリング中で、HYCレースを観戦のためコース途中で停船してレース参加艇に盛んに手を振ってエールを送っていただきました。HYCレース史上、帆船から声援を受けるのは初めてのことで、参加艇のクルーも普段以上の力を発揮していたようです。
今日が初セーリングとなった“May be”は、艇の状態を確認するとともに艇の大きさに慣れるためかヘッドセールは№3ジェノア、巨大なジェネカーも上げずにマストの状況やシーティングアングルの確認などを行っていました。さらには帰りのレグではサービス精神を発揮してわざわざコースを外れてレース観戦中の帆船“みらいへ”近付いて行き、乗船客からやんやの喝さいを浴びていました。
2015年シリーズは4月の第2レースだけ時折り小雨模様でしたが、それ以外は雨にも会わず天候には恵まれました(全般的に風が弱い状況でしたが)。何よりもレース中の事故も無く、それぞれにレースを堪能されたことと思います。レースに参加された皆様、一年間本当に有難うございました。来年もまたレース海面でお会いしましょう。
[以下は“麻里絵”のI氏からのコメントです]
11月15日、麻里絵として昨年に引き続き2回目の本部船運営をさせていただきました。今回はMETAXA のMオーナーと当方Yオーナーの話で本部船はMETAXA使ってもいいよとの話でしたが同席していた“Dragon Queen”のKオーナーが自分のヨットを出しましょう。そして待っている間に「洋上牛シャブ」でもしましょうということで話がまとまりました。クルーのIさん、そしてカメラマンのMさん(本職は内科医)に同乗していただきました。
15日朝8時頃は西の風でした。いつものように倉庫「箱次郎」と博多ヨットクラブの船具箱から運営物品を運び出します。クラブハウス2階で受付しながら、緊張のためか「西陣クリニック」などと誤記した領収書を出してしまいました(ごめんなさい)。
10時過ぎには東の風となってきました。船外機にマークロープが絡んだか、みたいなトラブルがありましたが何とかクリアー、麻里絵チームは沖でスピンあげて練習中でした(助けも呼べない状況でした)。11時00分、最終戦のためかどこもイケイケモードです。スタートラインを見ながら、出てる、出てる、出てるコールの連続で、セールの陰に隠れてリコール艇の全艇が確認できなかったので結局はゼネリコにしました。本部船運営マニュアルでは10分後再スタートとなっていますが、微風のためスタートラインに戻れない艇が数艇あり、20分後の11時20分に再スタートと決めさせていただきました。一応ハンドマイクで各艇にお知らせ、風も少しは上がってレース艇もチョコチョコ動くことが可能となりました。
2回目のスタートは見事にオールフェアーでのスタート、6~8ノットの風で最終戦にふさわしいコンディションになりました。机島時計回りですのでこの風なら2時間ちょっとの雰囲気でした。Kオーナーと12時くらいから鍋も開始とのことで、ぼちぼち準備に取り掛かります。お肉は前日よりロースと赤身を1キロほど準備していました。私の右手は揺れる船上でも常に鍋の取っ手から外しませんでした。牛肉も美味しいし、野菜も美味しかったです(船の上だから?)。Mさんはファインダーを覗くため、ちょっと食べることはできないとのこと、3人でゆっくり鍋をつつかせていただきました。
12時半過ぎに沖合に青赤のジェネカーが見えてきました。どうやらHumming bird Ⅴのようです。12:55に1着でフィニッシュし、7分後にMALOLOが2着フィニッシュ、8分後にFreestyleが3着でフィニッシュすると、10ノット前後の風の中、後続艇が次々にフィニッシュするため悔しいけれど「鍋」は一旦中止してフィニッシュのタイム取りに専念します。13:51に最後のHappy Holidayさんのフィニッシュを見届けさせていただき、14時前には無事にレースが終了しました。長年レースに参加させていただいていますが、本部船を運営するとレースを違う面からクールに見ることができます。スタートさせた後は時間があるので今回は牛シャブでしたが、潮風を感じながら料理に集中することもできます。来年も是非運営に参加することを誓って、「Kオーナー、来年は鯛シャブでもしましょうか?」ハーバーに帰港して運営用品などの片付けを済ませ、鍋もパート2でMさんも食事をとり、しっかり締めのうどんまでいただきました。皆様、12月19日の表彰式で再会しましょう。次年度もよろしくお願い致します。