本部船運営記。10月第9レースは“ZEPHYRUS”さんでした。

2013年10月22日

10月20日(日)第9レースの本部艇は“ZEPHYRUS”さんに担当していただきました。9月の第7レース(小戸カップ)、第8レース(タモリカップ)は他主催団体との合同開催となったためHYC会員艇の本部艇は3レースぶりの運営となりました。以下は本部艇“ZEPHYRUS”さんのレポートです。

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参加艇受付

1999年から毎年本部艇のお手伝いをしていますので今年で15年目になりました。とはいっても年に一回ですので15回目ということですが、それでも運営手順にはさすがに慣れました。レース受付時間は午前9時から10時までですので、運営メンバーは朝8時半にクラブハウス2階の「クルーザーオーナーズラウンジ」に集合し、受付用のテーブル、椅子、出艇申告書、筆記具等を用意して受付に備えます。合わせて、セーリングハウス裏の物置小屋「はこじろう」からマークブイと各種信号旗、船具箱から運営グッズ(メガホン、フォグホーンなど)を取り出して船に積み込みます。

DSC00090一番重要な今日のレースコースの設定ですが、当初予定では今日は「湾外」の予定になっていますがハーバーの風速計では2m/秒前後の風なのでどうするか迷うところです。気象予報では、6時の時点で1m/秒、9時の時点で2m/秒、12時の時点で6m/秒、15時の時点で6m/秒となっており、昼前からは吹き出してきそうな感じです。「相島」回航は約27マイル、「長間礁」回航だと約20マイル、日没時間も考えてレース委員長と相談のうえ今日は「長間礁」回航に決めました。風向も北寄りの風で「長間礁」がちょうど風上に位置するのでおもしろいレース展開になるでしょう。9時ちょっと前に事務所の放送設備を使って受付開始をアナウンスしました。今日のレース参加は会員艇が14艇、マリノア係留のエラン35の“エンタープライズリリー”がオープン参加で計15艇です。9時半に再度放送アナウンスを入れ、10時に受付を終了してテーブル、椅子を片付け船に向かい、午前10時10分にスタートライン設置のため出港しました。出港前に会員艇“Toropicarna”のSオーナーが来られ、僕も乗っけてと同乗されました。小戸沖には先週から「のり網」が設置されているので(来年3月まで)大きく迂回して能古島の左側近くの海面まで進みます。水深10mのところでマークブイを投下し、ブイから東方向に200mほど離して本部艇のアンカーを投下しました。風向は北北東のち北の風の予報ですが、マークブイを投下した10:20の時点では東~北東の風2~4ノット、東寄りの風なのでスタートラインは若干右に傾けて「下有利」となるようにしました。この頃には参加15艇もスタートライン近くに集結しフルセールでウォーミングアップに余念がありません。参加艇からは、風待ちのためスタートを延期したらという声もいただきましたが、北東の志賀島方向の海面が黒くなっており風がありそうです。しばらく観察していると、徐々にこちら側と西海面にもブローが広がっているようで、予定通り11:00スタートで準備します。

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11:00ジャスト、スタート

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ZEPHYRUSの皆さん

今日の本部艇はゲストのSオーナーを含め6名乗り込んでいますので十分に手は足りています。時計担当、クラブ旗担当、P旗担当、ホーン担当、写真撮影担当と分担を決めてスタートに備えます。10:55にスタート5分前の「予告信号」を発します。5秒前からクラブ旗を上げ始め、上に上がりきったところでちょうど5分前です。続いて10:56に4分前の「準備信号」を発します。これは旗竿に付けた「P旗」をさっと上に持ち上げます。この準備信号からエンジン使用は禁止ですので、各艇はこのときまでにエンジンをカットしています。さーあ、ここからがもっとも難しいスタートアプローチになってきますが、参加艇それぞれの戦略・思惑もあり、本部艇から客観的に見ているだけでもわくわくしてきます。「しも一」のマークブイから出ようとしている艇、ラインを流しながら中間位置から出ようとしている艇、「かみ一」の本部艇側から出ようとしている艇、なかなか興味深くとても勉強になります。沖合いからのブローはまだこちらまで到達していないため、風速は2~3ノットと弱く、各艇とも艇のコントロールに苦労している様子がよく分かります。本部艇唯一の願いはリコール艇が出ずに全艇「オールフェア」でスタートすることです。なかでもゼネラルリコールの再スタートになると結構バタつくので、それだけはご容赦をという思いです。10:59、「P旗」ダウンで1分前の信号を発します。ラインと各艇の位置関係を見ると、この弱い風では多分リコール艇は出ないだろうと安心です。それでも足元にはリコール艇ありの「X旗」とゼネリコの「第一代表旗」は用意しています。30秒前、20秒前、10秒前とリコールしないようにとどきどきしながらその時を待ちます。11:00ジャスト、クラブ旗をさーっと下ろして長音一斉の信号を発します。本部艇の願いが通じたのか、リコール艇なしの「オールフェア」でいよいよ第9レースがスタートしました。しもマーク寄りからスタボードタックで西海面方向に伸ばしている艇、あるいは本部艇横からポートタックで能古島に近付いていく艇、沖合いのブローは能古島のすぐ先まで下りてきていますので、どちらが先にこのブローを捉えるか、なかなかの見ものです。レースをしているとこれほど大局的に状況分析はできませんので本部艇運営はとても勉強になります。

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かもめ食堂にて

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豪快なセーリング

最後尾艇がスタートラインを通過して直ちにアンカーを引き上げて、楽しいランチタイムのために能古島に向かいます。今日のコースだと、途中から風が強くなってもトップ艇でも3時間は掛かるだろうと思い能古島の「かもめ食堂」に突入しました。姪浜からの市営渡船はアイランドパークのコスモス見物でしょうか乗客を満載しています。能古渡船場前の道路はアイランドパーク行きのバスを待つ乗客が長い列を作っていました。「かもめ食堂」では、大皿料理のコチや芝えびのから揚げ、アジフライを肴に冷たいビールでのどを潤し(もちろんマイカーの人は冷茶で)、最後は午後2時までの限定「かもめ定食」で満腹になり、いただいた本部艇運営費をきっちり使い切りました。途中、トップを走っているであろう“Humming bird”さんから何回かレース経過を聞いて午後1時近くまで島でゆっくりと寛いでスタートラインに戻りました。フィニッシュラインは風向に関わりなく、帰ってくる方向に直角になるように、なおかつスタート時の半分くらいの長さ(100mほど)に短くします。沖合いの机島方向を見ると、かすかに薄ぼんやりとセールらしきものが確認できます。双眼鏡で覗くと、白に中央部分に赤と青の横ラインが入っているので多分“Humming bird”のジェネカーではないでしょうか。風は17~18ノットくらい吹いているようですので1時間は掛からないでしょう。多分、40分ほどでフィニッシュするかもしれません。13:44:00、トップ艇の “Humming bird”がフィニッシュ。その後も次々と参加艇がフィニッシュしていきます。少しでも前に出ようと2艇が接近して競い合っているシーンもあり、本部艇ギャラリーを大いに沸かせました。中でも“JORDAN”と“エンタープライズリリー”、“SIESTA”と“翔風”の戦いは見ている方も手に汗握る熱戦を繰り広げていました。14:51:17、最終艇“Happy Holiday”のフィニッシュを見届けて、アンカーを上げてマークブイも回収してハーバーに向かいました。

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フィニッシュ艇を待つ

朝の段階では「湾外コース」の設定に一抹の不安はありましたが11時過ぎからは予報通りの風になり、4時間余りでレースが終了してホッとしました。レース参加はもちろん楽しいですが、違った意味で本部艇の運営もとても勉強になりますし楽しいものです。皆さんもぜひとも本部艇の運営をやってみませんか。希望される艇はレース委員長か事務局までご一報ください。

 

 


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