本部船運営記。2016年第8レースは“麻里絵”さんでした。
9月18日(日)の第8レースは“麻里絵”さんに本部船を担当していただきました。今日の天気予報は台風16号接近の影響で、風はまだ強くないが激しい雨と雷も予想されるとのことでした。今日のコースは湾外の予定で8:30から受け付け、10:00スタートのため、8時過ぎにはレース委員長、本部船運営担当がハーバーに到着し、気象情報をもとにレースコースを検討した結果、北西の風6~10ノット、ただし雨は結構降るだろうとのことで、短めの博多湾口の玄界島一周に決定しました。
朝の天気予報では大雨の情報が出ていたので果たして何艇参加するだろうかと気を揉みましたが、常連さん12艇がエントリーしました。9時過ぎには出港準備を終えた各艇が舫を解いて元気に出港していきました。雨はそう激しくはありませんが降ったり止んだりの状況で、時折り霧が濃く立ち込めて視界も0.1マイルほどになります。すぐ横の能古島や出てきたばかりのヨットハーバーも霧に隠れて見えなくなるため、GPSプロッターとコンパスを頼りにしてスタート予定地点に向かいます。各艇は安全のため航海灯を点灯しています。
スタート前には霧も晴れて沖合の玄界島も見えてきました。4ノット前後の弱い風の中、11:00に全艇オールフェアでレーススタート。スタート後風が落ちて2ノット前後の超微風となり、場所によっては風速0、艇速0という艇もあり、皆さん大変苦労したようです。このような状況の中にあっても大型艇の“Humming bird Ⅴ”や“May be”、“Second Love”は僅かな風道を拾ってジワジワと前に出て行きます。その他の艇は風を拾おうと右に行ったり左に行ったりと苦労していました。
13:36:36に“Humming bird Ⅴ”が1着でフィニッシュ、続いて“May be”が13:42:18に2着、“Second Love”が14:10:01に3着でフィニッシュし、後続艇は気まぐれな風と雨に翻弄されて大きく遅れました。1時間以上経過して“METAXA Ⅴ”がやっと4着でフィニッシュした後は順次フィニッシュラインを通過しましたが、最後尾の“SIESTA”は健闘しましたが僅かにタイムリミットに届きませんでした。悪天候下のレースとなり、参加したレース艇、本部船を運営した皆様、本当にお疲れ様でした。
[以下は本部船“麻里絵”I氏からのレポートです]
台風16号接近のためレースも中止かと予想していましたが、雨の中ということで今年の博多ヨットクラブレースでは最悪のコンディション下での本部船でした。ハーバー出港当初は小雨でしたが、「スタートラインはやや短くしまーす」と公言していたのでやや短めに、玄界島に対してほぼイーブンになるようなラインとしました。大番頭のH氏が船頭でしたので、そこはお手の物、見事でした。リミットマークを打って本部船もアンカリングしてスタートラインを設置しましたが、雨脚もやや強くなってきて風は北で4ノット程度だったでしょうか、雷も落ちたりして何やら怪しげな雰囲気となってきました。気が付くとすぐ横の能古島もどこかわからないくらいの視界です。あれ?リミットマークも見えない!というような状況です。スタート担当にリミットマークだけは見失わないようにお願いしました。参加艇は12艇です。私が時計担当ですので、3秒前、2秒目、1秒前、はい5分前!あれ、フォグフォーンが...押し間違えで2、3秒遅れてしまいました。やり直しもできないのでそのままゴーとしました。皆様大変失礼しました。
4分前の準備信号、1分前の信号、こちらはきっちりとフォグフォーンを鳴らし、午前11時ちょうどにスタート信号を発し、リコール艇なしのオールフェアでレースがスタートしました。ほっとひと安心です。風も弱いのでH氏がレースの邪魔にならないように風下から見学に行こうと、アンカーを上げて微速でレース観戦に行きました。各艇微風の中なかなかスピードが出ません。このような中でHumming bird、May beがじわじわと先行して唐泊寄りを帆走していますが、いい風を掴んだようです。各艇机島の向こうを回りだすと島影に入って本部船からは詳細が分かりません。じっくり待つことにして軽い昼食にしました。ウミネコが1羽船のそばに寄ってきたので、パンやバナナを投げ与えると食べたので、しばらく一緒に遊んでいました。どうやら潮が西に流れているようです。ウミネコも好き嫌いがあるようでチョコレートの混じったパンは硬いのかあまり食べる様子はありません。
そうこうする内にトップの3艇がスピンネーカー、ジェネカーで次々にフィニッシュしました。4位以下は遥か遠くにいてなかなか近付いてきません。4着のMETAXAは3着のSecond Loveより1時間以上遅れてフィニッシュ。この頃には風が南に変わって各艇ジブでのフィニッシュとなりました。Spilmer、ENTERPRISE LILYはともに潮がきつくて結構苦労していたようです。最後のSIESTAもしっかり上ってきていましたが、あと僅かというところで16時00分のタイムリミットとなりました。しかしながら完走に敬意を表してフィニッシュラインはしっかり最後までキープさせていただきました。公式記録には残りませんが無事16:03:25にレースを終了されました。本当にお疲れ様でした。
生憎の雨の中のレースとなりましたが全艇無事にレースを終了され、最後まであきらめない姿、微風でもしっかり努力する姿を学ばせていただいたことに感謝して本部船運営記とさせていただきます。<麻里絵 井手 誠一郎>