本部船運営記。2019年第10レースは”ZEPHYRUS”さんでした。
11月17日(日)は2019年HYCシリーズレースの最終戦でした。予報では晴れ、南東の風で2~6ノットとレースには物足りない風で、午後から少し風が強くなることを期待。
今日の本部船は、先月のレースでディスマストした“ZEPHYRUS”チームが引き受けていただきました。マストが再建されるのに2、3か月かかるそうで、今日は本部船としてレースに協力していただきました。8時半には本部船運営メンバーがハーバーに集合し、先ずは今日のコースをレース委員長と相談して、全般的に風が弱いため、博多湾口の机島南の「クタベ瀬黄色ブイ」時計回りコース(距離11マイル)に決定。またタイムリミットを、日没時刻を考慮して通常より30分短くして16:30に変更。その代わりスタート・フィニッシュラインを大分沖合に設置することにしました。マークブイや信号旗などの運営用品は前日に船に積み込んでいたため、クラブハウス2階でレース受付に備えました。10時の受付終了で今日の参加は18艇。皆さん、今年最後のレースとあって気合は十分です。10時過ぎにはスタートライン設置のために出港しました。小戸沖には例年10月から翌年3月まで「海苔網」が設置されているため、大きく迂回して沖合を目指します。通常よりだいぶ沖合にスタートラインを設置しました。マストがないため風向風速が測定できませんが、ポールに掲げたフラッグと肌に感じる風で、南東の風で2~4ノットくらいでしょうか。運営メンバーで5分前、4分前、1分前のフラッグ掲揚等の確認を行いスタートに備えます。今日はリコールやゼネリコがないようにきれいにスタートしてほしいと祈りました。
10時30分頃にはレース参加艇がスタート海面近くに集結しだしましたが、風が弱いためか少々物足りなさそうに風の振れや海面の状況を確認していました。10時55分に5分前の予告信号、56分に4分前の準備信号が発せられ、風も少し出てきて4ノット前後。各艇ともそこそこ艇速が出ているようで、何とかスタートできそうです。11時ちょうどにスタート信号が発せられ、本部船の祈りが通じたのかリコール艇もなく、きれいにスタートしていきました。南東の風で、右横から風を受ける状態だったため、スタート直後に各艇からジェネカー、スピンが次々に上がっていきます。なかなか壮観です。スタート間もなく、本部船に掲げているフラッグが勢いを増してきて6ノットくらいは吹いてきたようです。ほぼ全艇がジェネカー、スピンを上げて沖合の玄界島方向に向かっています。
無事にレースはスタートしたものの昼頃にはいったん風が落ち、タイムリミットまでに全艇フィニッシュできるだろうかと少々心配になってきました。今季最終レース、何とか全艇フィニッシュしてほしいと願いながら、本部船のアンカーを上げてフィニッシュラインを短くして再度アンカリング。受け入れ準備が整ったところでお昼ご飯にします。スタート1時間後くらいから、本部船に掲げているフラッグがだらりと垂れ下がってきました。風が随分落ちたようで1、2ノットくらいでしょうか、レース参加艇の皆さんは我慢の走りをしていることでしょう。今日は天気も良く見通しがきくので玄界島、机島まで見渡せます。双眼鏡で覗くと、弱い風の中を各艇苦労している様子です。幸いにも今日は「中潮」で強い潮の影響はあまり受けていないようです。13時20分頃になってようやくジェネカーらしきものが見えてきました。双眼鏡で確認すると白地にグレーの横ライン、どうやら50フィートの“K.CONTESSA 風と虹”のようです。風が南東から東に変わったのでしょうか。また本部船のフラッグも勢いよくはためきだしました。それから20分くらい経過した頃に、はるか後方にジェネカーらしきものが2つ見えだしました。
先頭を走る“K.CONTESSA 風と虹”は一直線にフィニッシュラインに向かってきます。途中で風が少し南に回ったのでしょうか、ジェネカーを下ろしてジブを上げています。14:05:32に“K.CONTESSA 風と虹”がダントツのファーストホーム。続いて27分遅れで14:32:44に“Second Love”が2着、14:37:27に“May be”が3着でフィニッシュしました。後続艇も安定しない風を拾いながら順次フィニッシュして、16:07:50に“Happy Holiday”が最後にフィニッシュして、2019年シリーズレースが無事に終了。残念ながら途中リタイヤが3艇でした。
ここ3年は荒天中止や無風ノーレースなどで年間10レースを実施できませんでしたが、今年は無事に全10レースを消化することができました。5月の第3レースでは“AZUMI”が、10月の第9レースでは“ZEPHYRUS”がディスマストという不運に見舞われましたが、両艇とも乗員に怪我はなく何よりでした。原因は両艇ともバックステイのトラブルだったそうで、オーナーの皆さん、艇の整備は入念にお願いします。レースに参加された皆様、来年も海でお会いしましょう。また、本部船を運営していただいた協力艇の皆さん、本当にお疲れ様でした。
[以下は本部船“ZEPHYRUS”のSオーナーからのコメントです]
年間成績上位を目指していましたが、先月の第9レースで痛恨のディスマスト。今日はマストが整備できずにレースには参加できませんが、せめて本部船の運営でもと協力させていただきました。メンバーは男性1名と女性3名。穏やかな気象条件になるようにと何日も前から祈っていました。とりあえず前日の土曜日にマークブイや信号フラッグなどの運営用品を船に積み込みました。レース当日は祈りが通じたのか朝から穏やかな天気に恵まれました。レース参加艇には物足りない風ですが、本部船には絶好の日和。ピクニック気分でルンルンです。
9時過ぎからクラブハウス2階でレース参加受付を開始し、10時の締め切りで今日の参加は18艇。直ちにポンツーンに向かい出港。小戸沖には「海苔網」が設置しているのでこれを迂回して沖合に向かいます。今日は風が弱く、またタイムリミットも30分短くしたので通常位置よりもかなり沖合にスタートラインを設置しました。風向風速計がないのではっきり分かりませんが、南東の風で風速は3ノット前後といったところでしょうか。予報では昼頃には5、6ノットの風になるとのことですが、先行きが不安です。コクピットではクラブ旗、P旗、リコール旗、ゼネリコ旗の準備をして、スタートの手順を確認します。できることなら1発できれいなスタートをして欲しいと願いました。
風も少し出てきて4、5ノット。10時55分に5分前の予告信号、56分に4分前の準備信号を発し、59分に1分前。ほとんどの艇がアウターマーク寄りに集まっています。30秒前、20秒前、10秒前、ラインから出るよなと緊張の瞬間。どうやら大丈夫のようです。11時ちょうどにスタート信号を発しましたが、本部船の祈りが通じたのかリコール艇もなくきれいにスタートしていきました。右横からの風のため、スタート直後から次々にジェネカー、スピンが上がっていきなかなか壮観です。みんな、頑張って!
スタートラインを長く取っていたのでアンカーを上げて本部船を移動し、フィニッシュラインが机島方向に直角になるように短めにアンカーを打ち直しました。そろそろお昼になるのでコクピットでランチタイム。この季節としては珍しく陽気も良くて暖かく、波もほとんどありません。絶好の本部船日和です。食事をしているとどこからともなくユリカモメがやってきて、1艇身ほど先の海面を漂い、こちらをじーっと見つめています。10分、20分とその状態が続くので、パンをちぎって投げてやるとすぐにパクりと食い付きました。2、3回続けていると別に2羽のユリカモメもやってきて、3羽で餌を求めてきました。しばらくユリカモメと遊んでやってレースの進行具合を確認すると、玄界島から机島方向に向かってレース艇が見えます。どうやら風が落ちたようであまり進んでいないようです。その内、沖合からこちらにヨットが近づいてきました。双眼鏡で確認すると、セールを下ろして機走しているようです。“Altair”、“MALOLO”、“Fripper-Ⅴ”の3艇が途中棄権です。ランチも済んでしばらくおしゃべりしていると、遠くにジェネカーらしきものが見えます。双眼鏡で確認するとどうやら“K.CONTESSA 風と虹”のようです。さすがに50フィート艇、速いです。その後方はと双眼鏡で何度も確認しますがジェネカー、スピンを上げている艇は確認できません。トップ艇が肉眼でもはっきり視認できるようになって、どうやらジブにチェンジしているようです。風が少し前に回ったのでしょう。この頃になってようやく後続艇のジェネカー、スピンが二つ、三つ見えてきました。14:05:32に“K.CONTESSA 風と虹”が後続艇を大きく引き離して堂々のファーストフィニッシュ。トップ艇から約25分遅れて2番手の“Second Love”がフィニッシュすると順次フィニッシュが続き、16時過ぎに最後の艇がフィニッシュしました。何とかタイムリミット内に全艇フィニッシュできてほっとしました。年明けにはマストも立つようですので、来シーズンはノー事故でレースに参加したいと思っています。