本部船運営記。2020年第5レースは“Little Wing”チームでした。

2020年7月23日

7月19日(日)は2020年シリーズレースの第5戦でした。今日の本部船は“Little Wing”チームさんが引き受けていただきました。“Little Wing”は係留地が今津に変わったため、小戸に係留の知人のヨット“WOOL SACK”号を借りての運営です。マークブイや信号旗、フォグホーンなどの運営用品は前日の土曜日に船に積み込み準備万端。レース当日は午前8時半にメンバーが集合し、クラブハウス2階ラウンジで参加受付の準備。3蜜を避けるためラウンジの窓はすべて全開。メンバーも全員マスク着用で感染防止対策を徹底。

予報では南寄りの風、6~10ノット、全般的に曇りで一時雨。コースは博多湾口の「机島時計回り」、距離は約12マイルです。9時頃からエントリーが始まり10時の締め切りで参加艇は18艇。エントリーに来る皆さんもマスク着用です。

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今日は小戸沖にディンギーが沢山出ているので少し沖合にスタートラインを設置。南寄りの風のためスタートは後ろからの風でポートタックになるので、スタートラインは通常の1.5倍くらい長めに設定しました。クラブハウス内では皆さんきちんとマスク着用でしたが、3蜜を気にしなくてもいい洋上では、うっとおしいマスクを外して笑顔いっぱいで自然の風を心行くまで感じていました。空を流れる雲は動きが早く、西の空には黒っぽい雲の塊もあります。途中で雨が降り出すかもしれません。陸上では新型コロナの脅威で窮屈な生活を強いられていますが、ひとたび海に出ると皆さん本当にのびのびと寛いでいました。これから海水浴?と勘違いしている参加艇もいて、皆さん本当にいい笑顔でした。

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スタートは午前11時ちょうど。本部船上では信号旗をチェックして万全を期します。10:55:00に5分前の長音一声とクラス旗(HYC旗)が上がると参加艇の動きが慌ただしくなってきました。ジブセールを上げて、デッキ上にはジェネカー、スピンのバッグが用意されてスタートに備えます。10:56:00には4分前の信号が発せられ、11:00:00にスタート信号が発せられました。すぐに長音一声とX旗が上がったので、リコール艇があったようです。スタート直後に各艇から色とりどりのジェネカー、スピンが次々に上がっていきます。スタート時の風は南で8~10ノットほど。進行方向の正面には安全を見守ってくれているのでしょうか海上保安部の巡視船が停泊しています。途中から徐々に風が西にシフトしていき、ジブが上がってジェネカー、スピンがダウンしていきます。机島へはポートタックのクローズドリーチになりました。この頃から西の空の真っ黒い雲がぐんぐん近付いてきて、とうとう雨が降り出しました。そんなに強い雨ではなく、降ったり止んだりの状況になりました。先行艇が机島を回る頃には風がシフトして南西の風に変わり、復路のレグはスタボードタックのクローズドリーチの走りとなってしまいました。

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途中で大粒の雨が降り、風もブローで21ノットまで吹き上がり、一時は海面が白く煙って視界も悪くなることもありましたが、参加各艇はセールに風をいっぱいに受けて飛ぶように走っていました。12:47:00に51フィートの“May be”(Sprint 51)が堂々のファーストホーム。2番手は12:48:43に40フィートの“MALOLO”、3番手は12:52:31に40フィートの“Second Love”と大型艇が続きます。その後も続々とフィニッシュが続き、最終艇の“Altair”が13:28:01にフィニッシュ。ファーストホーム筆頭の“K.CONTESSA 風と虹(CLUB SWAN 50)は、机島手前のクタベ瀬黄色ブイの東海面で痛恨のキール接触を起こして無念のリタイヤとなりました。修正では最小艇でシングルハンドの“Happy Holiday”(リベッチオ)が見事に優勝。おめでとうございます。

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今日はスタート時の南の風が西→北西→南西と大きく変わりました。例年だと明けている梅雨もまだ明けずにぐずぐずしていて大気が不安定なのでしょう。本部船を運営していただいた“Little Wing”の皆様、お疲れ様でした。また素敵な写真を沢山撮っていただいて感謝です。8月16日(日)の第6レースは「湾内コース」の予定で、受付9:30~10:00、スタート11:00です。本部船は“Suru Sumi”チームです。

【注意喚起!】今日のレースでは2艇がキールを暗礁に接触させました。1艇は50フィート艇で机島の手前、クタベ瀬ブイの東側海面です。キール底面をガリガリと擦ったとのことです。クタベ瀬は波に洗われて見えていますが、その周囲に水深2m未満の沈み瀬が3か所あります。この大型艇はキールの長さが3.5mもあるので、航行には最新の注意が必要です。ここは2014年11月のHYCレースで30フィートクラスのB艇がキールを擦っています。もう1艇は34フィート艇で机島を時計回りに回って小戸方向に進路を取ったすぐのところでキールにガツン、ゴリゴリと衝撃があったとのことです。ここは2010年6月のHYCレースで32フィートのZ艇がオンザロックしてキールとラダーに大きなダメージを受けたところで、チャートに水深2m未満の「コクタベ瀬」とあります。レースに参加の皆さん、キールをぶつけないようにチャート(海図)やGPS機器で確認しておいてください。〔クタベ瀬周辺海底地形図pdf.〕

[以下は本部船“Little Wing”のレポートです]

世間では「コロナ」「三密」云々と耳にタコが出来るほど聞き飽きたフレーズが飛び交っており些か気疲れ気味ではなかろうかと思われるが、デッキに立つ面々には大きな笑顔が溢れスタートはまだかと楽しそうにしている様子が本部艇から見て取れた。(羨まし〜ぃ!!)

前日予報では九州南部に掛かった前線が北上し、東シナ海側を中心に時折雨が降るとのこと…と、言うことは…天気が急変するかも?早々にレース海面に出ると風は南風。ランニングスタートとなる事を鑑みてラインを大きく開けて設定した途端に風は西へ南へとコロコロ変わる。些か嫌な風だが参加艇はストラテージを練るに楽しかったのではなかろうか。

 スタートすると穏やかな南風に揺られ、各々がスピンやジェネカーを展開して目標マークに向かって行く。カラフルなセイルが海原に花を咲かせて行く光景は何とも美しい。こうした景色を望めるのはこの時期の本部艇だけの特権だと言えよう。そんな様子を楽しんでいると、毘沙門山の向こうに陰りと、玄界島近くに濃ゆく染まった帯状の物が海面に見えた。あっ!そう思った途端にカラフルなセイルは閉じられ、殆どの艇がヒールし始めた。そして大粒の雨が襲ってくると海面は真っ白になり視界は遮られ、プロッター無しだと目標物が分からない程ではなかっただろうか…

 本部艇は毘沙門山と能古島南部を結ぶライン上に置いていたが、いきなり雨が降っては凪り、ブローが入っては大粒の雨がデッキを叩きつけるの繰り返し…本部艇からは全くレース状況が確認できないほどだ。『参加艇は無事に回航できているだろうか…』そんな心配をしていた中、真っ白になった海面に複数の艇影が確認できた。この時、風は西へと廻りクローズドリーチ気味で艇速をあげ波を掻き分けながら大型艇のMaybeがスタートから1時間47分にファーストフィニッシュを飾り、続いてMALOLO、Second Loveがフィニッシュ。その40分後には最終艇がフィニッシュラインを越え本日のレースは終了した。 - Little Wing Team -


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