本部船運営記。2020年第6レースは“Suru Sumi”チームでした。

2020年8月19日

8月16日(日)は2020年シリーズレースの第6戦でした。日本列島を熱波が襲い猛暑日が続く中、盆明け直後の日曜日とあって今日は何艇参加があるだろうか?10艇も集まれば上出来かと思っていました。今日の本部船は“Suru Sumi”チームさんが引き受けていただきました。Suru Smiの母港はマリノア、小戸ハーバーからは10分ほどの距離。運営メンバーは2班に分かれて、受付メンバーは8:30に小戸ハーバークラブハウスに集合。もう1班はマリノアに集合して上架しているヨットを9:00に海に下して小戸まで回航。ご協力感謝、感謝です。さらにはSuru Sumiのサポートボート(パワーボート)も出動し、それには知り合いのプロカメラマンが乗船して、レース参加艇の写真を沢山撮ってくれるそうなので楽しみです。

予報では快晴で最高気温35度。南東から西、後に北西の風、4~8ノットとのこと。あまり風は吹かないだろうとの予測でコースは短めにし、博多湾口の机島手前の「クタベ瀬南西灯浮標ブイ」を時計回り、距離は約10マイルです。9時頃から参加受付が始まり10時の締め切りでは予想に反して参加艇は26フィートから51フィートまで19艇。新型コロナや熱中症には負けない元気いっぱいの老若男女が集結してくれました。半年かけて日本1周し、先月には残りの沖縄を1か月かけてクルージングしてヨット雑誌「Kazi」に何度も掲載され、今発売のKazi9月号の表紙を飾っているトリマラン「オモイノママ」号もHYCレース初参加です。

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新型コロナの影響で活動自粛したのか今日は小戸沖にはディンギーが1隻も出ていませんでした。風が弱い場合に備えて沖合にスタートラインを設置。この時は西寄りの風だったので、このまま風が変わらなければポートスタートになりそうです。徐々に本部船周辺に参加艇が集結しだしましたが、「3蜜、ソーシャルディスタンス」に気疲れした皆さんはうっとおしいマスクを外して笑顔いっぱいでした。

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スタート15分前くらいになると風が北に振れて北西の風となりました。これだとスタボースタートできそうです。5分前の予告信号が発せられると参加艇の動きも活発になりました。4分前の準備信号でも風は北西。さーあ、熱い(ものすごく暑い)戦いがいよいよ始まります。スタートまでのこの時間、緊張感がたまりません。ワクワク、ドキドキ、最高です!午前11時ちょうどにスタート信号が発せられ、リコール艇なしのオールフェアスタート。猛暑との戦いに突入です。

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スタート後艇団はそのまま西海面に向かう艇とタックして東海面に向かう艇に分かれました。まだ風は弱く小刻みに振れ回る風の中、どちらの海面が有利かは分かりませんが、風の振れに合わせてヘッダーの風が入ればすかさずタックする作戦が功を奏しそうです。全般的には西海面の方が若干有利な感じもします。風速は徐々に勢いが出てきて8~12ノットほどになってきました。それにしても暑い、頻繁に水分補給して熱中症で倒れないように注意します。本部船のサポートボートが近くを伴走して写真を撮ってくれています。レンズがこちらを向いたときは精一杯愛想を振りまきます。写真の出来上がりが楽しみです。

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回航ポイントのクタベ瀬ブイを回る頃には風は北北西になり風速も10~14ノット。回航すると各艇からは一斉にジェネカー、スピンが花開き、フィニッシュ目指して快走です。

12:55:47に50フィートの“K.CONTESSA 風と虹”(CLUB SWAN 50)が堂々のファーストホーム。2番手は12:59:36に51フィートの“May be”(Sprint 51)がフィニッシュ。今日の50フィート対決はCONTESSAが制しました。3番手は13:07:31に42フィートの“Humming bird Ⅴ”、そして4番手に34フィートの“Le Grand Bleu 9”が、40フィートの“Second Love”、“MALOLO”を押さえて堂々のフィニッシュ。その後も続々とフィニッシュが続き、最終艇の“Happy Holiday”が14:42:24にフィニッシュ。“Altair”と初参加の“オモイノママ”は途中リタイヤでした。修正ではタクティクスが冴え渡った“Le Grand Bleu 9”(M-34)が見事に優勝。HYCレース参加以来初めての修正1位でおめでとうございます。

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福岡県内も連日40度近い猛暑が続き、福岡市も35度以上の日が続いています。今日は炎天下のレースとなり体調不良者が続出するのではないかと心配していましたが、小戸ハーバーには救急車の出動もなく無事にレースが終了してホットひと安心です。クルーザー界では「還暦」はまだまだ若い方で急速に高齢化が進んでいます。かく言う私も60台後半の年齢となり、今日のレースも愛艇で参加してジェネカートリムをしていました。まだまだ若いもんには負けないと元気いっぱいで海に繰り出したのですが、ジェネカートリムの途中でいきなりクラクラと眩暈がして息苦しくなり動悸が起きました。えっ、これが「熱中症」か!慌ててトリムを交代してキャビンに入り、塩分入りの水をがぶがぶ飲んでへたり込んでしまいました。10分くらいじーっとしていたら動悸も収まり、正常に呼吸もできるようになったので再びデッキに上がってジェネカートリムを続け、無事にフィニッシュすることができました。自分では自覚していませんが年齢とともに確実に体力も落ちているのですね。今回で痛感しました。若いクルーを探さなきゃ。

プロカメラマンが撮影した写真データをいただきましたが、さすがにプロ。素敵な写真がいっぱいです。非常に高画質で1枚のサイズが15MBほどもあるのでメールでは送れません。カメラマンの許可を得ていますので、艇別に編集して後日CD版でオーナーのもとに郵送します。楽しみにお待ちください。

[以下は本部船“Suru Sumi”のレポートです]

どうして、どうして、僕たちは♪

海へ出てしまったのだろう♪

壊れるほど、クソ暑いのに♪♪

ユーミンのナンバーを、ついつい替え歌で口ずさんでしまうような酷暑。暑い、熱い、アツイ。ヤフー天気予報をみると本日は「危険:屋外の活動はなるべく控えて」と書いてあるぞ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERAスカッと晴れた青い空の下。お盆休みの最後の日曜日を、ヨットレースで締めくくる。活字にすると、とても爽やかな印象を与えるが、それは真夏の船上を知らない人たちが抱くイメージだ。でもセーラーなら誰もが知っている。艤装の準備だけで汗だくになり、スタート前から頭くらくら。レース中にセールの日陰を求めても、風向とヒールの角度がそれを許さない。強烈な紫外線はすべてを焼き尽くし、翌日の活力減退を保証してくれる。アフターレースの冷えたビールは確かに格別だが、それもクルマの運転があれば帰宅までお預けなのだ。それなのに、それなのに、皆さんは海に集まってしまうのですね。ヨット好きのHYCの皆さん、ご愁傷さまです。

スタート。気象サイトでは南寄りの風が吹く予報だったのに、地熱による気温上昇が打ち勝ったのか、そよそよと5ノット程度の北西からのシーブリーズ。アウター有利のラインから19艇がゆっくりとスタート。オールフェアだ。よっし。無事にスタートできたので、本部船のお仕事も8割は終了。ブームの上にカバーを拡げ、左右のライフラインにロープで縛って、日陰スペースをメイキング。カバーの下をそよ風が通り抜けて快適なのだ。あとはレース艇が戻ってくるまで、冷えたドリンク&お弁当つつきながらワイワイ盛り上がるぞと思っていたら、アンカーを揚げて機走でレース艇を観戦しようとメンバーから提案がありました。えっ、そうなのね。多数決には従いますよ。フリートを追走するため、エンジンを掛けてラットを握る。ブームカバーの日陰の外に出てしまったが、日焼け止めをベトベトと塗り、広いツバのハットを被って、首にはタオルを巻いている。紫外線対策はバッチリだ。

クローズホールドで少し傾斜しながら帆走る19の白いシルエットが、空と海のブルーの境界線上を、左右に万遍なく広がっていく。うひょー、まさしく夏の絶景。エンドレスサマーなのだ。

ただ、そんな自己陶酔にひたれたのは、ほんの束の間。すぐに僕は自分の失敗に気が付いた。僕はこの日、運営だから足元は軽装でいいやとビーチサンダルで乗船していた。去年の夏の終わりに鹿児島の東急ハンズで買ったお気に入りのビーサンだ。ビビッドなピンク色で、土踏まずの部分が3Dに盛り上がって履き心地が最高なのだ。えっと、サンダルの自慢話は置いといて。真上に昇った太陽が、むき出しの足の甲をジリジリと焼き続ける。まるで虫メガネ越しに照射されているみたいに熱い。日焼け止めクリームを追い塗りしても効果なし。いまさら他のメンバーに、日陰に入りたいからラット持つのを代わってくださいよとは言えない。男の子なので我慢する。次回は必ず靴を履こうと決意した。

一日が終わり、足の甲の日焼けあと。サンダルの鼻緒のラインがくっきりと三角形に残っていた。その形をみて、水着ギャルのビキニの日焼けあとを連想する。夏の恋の予感。エンドレスサマー。

話しを戻します。レース艇とのランデブーを切り上げて、スタート地点に戻りフィニッシュラインを再設定。アンカーを打って落ち着いたころ、クタベ瀬を廻ったボートが、ぽつりぽつりとジェネカーを開いていく。風速が少し上がってきたので、さぞや心地いいダウンウィンドなのだろうと想像するが、実際にはどうなのか。相対風速が落ちるのでデッキ上は暑くてたまらないのではないか。スピンを見上げるトリマーは直射日光を顔面に浴びて焦げていないだろうか。怖いスキッパーに地獄のダウンビローを命じられたクルーたちがドッグハウスの中で汗まみれに溶けていないだろうか。そんな心配が尽きないが、まあ他人事なので気にしない。

フィニッシュ艇を記録しながら本部船のメンバーで談笑を続ける。スタートから約3時間半が経過して最終艇がフィニッシュ。無事にお勤めを完了することができました。それにしても、こんな真夏の炎天下で汗まみれのオヤジどもが一日中ヨットレースを眺めているなんて、我ながら頭がおかしいと思うぞ。僕らSuruSumiオヤジ集団、エンドレスサマーなのだ。 文:井田 光司(SuruSumi)


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