7月第5レースは小戸沖から長崎県壱岐アイランドを目指す伝統の「壱岐レース」です。海の日の3連休、フィニッシュ後は透明度の高い海で海水浴もよし、現地で一泊して温泉に浸かるもよし、名物の「うにめし」や「壱岐焼酎」でグルメ三昧もよしと、たっぷり楽しめる島です。この30年近く午前0時をスタートとしていましたが(昨年は試験的に午前1時スタート)、ヨットオーナーやクルーの高年齢化に伴い、夜間レースの事故防止等を考慮した結果、今年はスタート後まもなく空が白んで来る午前4時をスタートとしました。またタイムリミットは同日の午後6時。壱岐までは直線で約30マイル、平均で2.2ノットの艇速でフィニッシュできる計算です。
スタートが午前4時ということもあり、前日の18日(土)に出艇申告(16:30~17:00)、艇長会議(17:00~17:30)を行い17艇がエントリーしました。スタート本部船はレース参加の「Humming bird Ⅴ」が務め全艇スタート後にアンカーを引き上げてレースに復帰です。この場合「所要時間-10分」の救済をすることにしています。また壱岐フィニッシュ本部船は山田会長の「JORDAN」が務めます。
台風11号の動向が気掛かりでしたが17日(木)には強風域も通り過ぎ、まずまずの天候の中でのレースとなりそうでほっと一安心。19日(日)午前2時過ぎ頃から各艇に人が集結し出港準備が始まりました。天気予報は曇り時々晴で、東寄りの風2~6ノット、波は0.5m。スタート本部船の「Humming bird Ⅴ」は目印としてストロボライトを2個連結してマストの高い位置に吊るして午前3時20分頃に出港してハーバー沖にアンカリング。リミットマークは設置せずにハーバー入口の入港灯(緑)と本部船をスタートラインとし、本部船を左に見てスタートです。ハーバーからは航海灯を点けた参加艇が続々と出港してきています。風はほとんどなく1ノット前後、海面は鏡のように滑らかです。もう少し風が吹いてくれないとスタートが混乱しそうです。夜間でもあるので何よりも衝突・接触しないこと、本部船のアンカーロープを引っ掛けないことが一番です。3:55に予告信号(長音一声とHYC旗掲揚)、3:56に準備信号(長音一声とP旗掲揚)、3:59スタート1分前(長音一声とP旗降下)、そして4:00ちょうどにスタート信号(長音一声とHYC旗降下)が発せられましたが、無風状態の中でほとんどのヨットが行き足がないまま漂っています。10分、20分、30分経っても位置関係が変わらず中には弱い潮の影響を受けてヨットハーバーの防波堤に近付いているヨットもあるようです。ときおりふわーっと1ノットほどの風が入り、その風をしっかり掴んでとにかく沖を目指します。
4時45分くらいになると東の空が白んできて周りのレース艇の状況も分かってきました。40フィート級の大型艇も26フィートの小型艇もみんな近くにいます。スタートラインから100~200m位のところで仲良く漂っています。これは厳しい。こんなにも風がないことは珍しいことです。航海計器はいつ見ても風速0.0ノット、艇速0.0ノット。博多湾口まで6.5マイル、そこから壱岐まで23マイル、このような状況で果たしてフィニッシュラインまでたどり着けるのでしょうか、心配になってきました。今日の日の出時刻は5:21、東の空がだいぶ赤くなってきました。スタートから1時間20分経ってもヨットハーバーの目と鼻の先にある「能古島」にも達していません。雲の合間から黄金色の太陽が顔を覗かせ夜が明けましたが相変わらず風は吹いてきません。各艇は僅かなパフを拾おうと海面を見ながらコース引きをしています。その内に1ノット前後の東寄りの風を感じだしたのでジェネカーやスピンを上げて何とか前に進もうと努力しています。ふわーっと吹いては止まりの繰り返しながら、各艇じわじわと沖に向かって進みだし、7時半過ぎにようやくトップ艇の「Humming bird Ⅴ」が博多湾口の「机島」の横にたどり着きました。スタートしてから実に4時間、順風だと1時間も掛からない距離です。
スタート本部船の「Humming bird Ⅴ」は約50分遅れでレースに参加してトップに立ちましたが、まさかの艇体トラブルで無念のリタイア、機走でハーバーに戻って行きました。昨年の「タモリカップ」総合優勝艇ですので、修理を済ませて2連覇達成をお祈りしています。
やっとの思いで博多湾を抜け出したもののここでまたもや風が止まり、1時間ほど潮にもてあそばれて北寄りの2ノットほどの風が入りだし、西北西の方角にある目的地「壱岐」へコースを取ることができました。その後徐々に風も吹き出し、「烏帽子灯台」近くでは10ノットオーバーと安定し、フィニッシュ時には20ノット近い風の中をクローズドリーチで豪快にフィニッシュラインを切りました。一時はタイムリミットを気にしましたが結果としては途中リタイヤ5艇(うち1艇は艇体トラブル)を除きレース続行の12艇すべてが時間内にフィニッシュすることができました。皆さんなかなかしぶといですね。フィニッシュ地点の「筒城浜」は壱岐で最も有名な海水浴場、海の日の3連休で海水浴客も大勢繰り出していて、「バナナボート」も多数海面を走り回っていました。フィニッシュ前のレース艇の直前を横切るボートもいて、危険防止のために必要のないタックを強いられたヨットもいたようです。ボートの操縦者も少しは考えてよ!
フィニッシュ後、とんぼ返りで博多に帰る艇、壱岐の港に入って旅館や民宿で1泊する艇などそれぞれに壱岐レースを楽しまれました。
MALOLO、Freestyle、ZEPHYRUS、翔風、HIROは印通寺港に、Little Wingは七湊港に、METAXA、Bambino、SIESTA、JORDAN、いそしぎ、Karakoram、Notari 3、Happy Holidayは芦辺港に入り、それぞれ1泊して翌日博多に帰りました。
会員懇親会などで気心が知れあったMALOLO、METAXA(麻里絵との合同チーム)、Bambino、Freestyle、JORDAN、SIESTA、翔風、いそしぎ、ZEPHYRUSの10艇のオーナー、クルー総勢62名は壱岐湯本の海を見下ろす高台に建つ国民宿舎「壱岐島荘」に一緒に泊まり、天然温泉でレース(フィニッシュ本部船)の疲れを癒し、夜は大宴会で大いに交流を深めました(昨年は6艇、42名でした)。山田会長(JORDAN)の挨拶のあと熊坂レース副委員長(Freestyle)の発声で乾杯!しばらくして熊坂レース副委員長から壱岐レースの成績発表がありました。その後各艇ごとに艇名の由来やメンバーの紹介が続き、つい最近ご結婚されたSIESTAのS氏(奥様同伴)を前に引っ張り出してやんやの喝采。すると同じSIESTAのY氏もクルー同士でご結婚されていて4歳のお嬢ちゃんともどもみんなで拍手喝采。JORDAN艇にはゲストでカナダから来福中のサンディーご夫妻(奥様は香港出身)が参加されていて紹介。HYCもなかなか国際色豊かですね。壱岐焼酎(実は麦焼酎の発祥地は壱岐なのです)が凄い勢いで消費されて酔いが回るとともに宴席もヒートアップ、芸達者なMALOLOチームの若手による宴会芸に皆さん腹を抱えて大笑い。Bambinoのオーストラリア人クルー、ミッチさんのカラオケも飛び出すなど、壱岐の夜は更けてゆく ...最後は博多祇園山笠60年以上のキャリアを持つ黒住副会長(SIESTA)の「博多手一本」でお開きになりました。飲み足りない皆さんは部屋に戻って酒宴が続いたようです。
翌日は7時から各艇朝食を済ませ、宿のマイクロバスで係留地の芦辺港、印通寺港に送っていただき、帰りの食糧・飲料・氷とお土産を買い込んで博多に向けて出港しました。芦辺港の係留場所のすぐ近くには「ダイエー壱岐店」が、印通寺港の係留場所もすぐ近くに大きなショッピングセンター「マリンパル壱岐」がありとても便利でした。20%のプレミアム付の長崎県離島限定の地域通貨「しまとく通貨」を到着時にフェリーターミナル内の観光案内所で買い込んで、宿代やお土産等にしっかり利用させていただきました。本当にお得でした。残念ながらこの制度は3年間の限定で、今年が最終年です。
[以下はスタート本部船“Humming bird Ⅴ” S氏のレポート]
スタートラインは、04:42分頃に最終艇の「Notari 3」をスタートさせ、その後セールを上げエンジンを切って、スタートしたのが04:47分でした。
今後の課題としては、スタートラインの時間ですが、通常4分、鳥羽レースみたいなロングでも10分で撤去され、遅い艇はDNSとなります。今回の場合、半分以上の艇がDNSになってしまう可能性がありました。暗い中でのスタートで、風待ちさせる判断は出せませんでした。また、ラインですが、風のことを考えるともっと沖が良かったのですが、ハーバー入港灯との見通しの為、本部船の位置を南に下げると大型艇の座礁の危険があり、北に上げると本部船有利となってしまいすぎ、また、本部船のアンカーラインに絡む危険もあるため、ちょっと長かったのですがぎりぎりのところでのアンカーリングとなってしまいました。今回、最後尾からのスタートは、トップ艇集団の動きを見て有利なコースを引くことができ展開は楽でした。お疲れ様でした。
[以下はフィニッシュ本部船“JORDAN” Yオーナーのレポート]
レース当日の7月19日(日)午前0時30分、壱岐に向けて小戸ヨットハーバー出港。北東の空にカシオペア座が輝いて見える。台風11号の余波で多少うねりがあるものの北西の風3ノット、真上りのため機走にて博多湾外へ。机島通過後やや西へ変針するも風が止まりセールも上げられず取りあえず機走で壱岐島へ向かう。真っ暗な玄界灘で大きなうねりとエンジンの単調な響きで睡魔が襲う。あー、いかんいかん、レースでなかったらこんなにも緊張感がないものか。6ノットの機走とうねりのサイクルが合わず約2名が「まぐろ」に、玄界灘に撒き餌をすることになった。撒き餌と波切りに輝く「夜光虫」が美しい。
午前3時頃「烏帽子灯台」を過ぎる頃から南西の風13ノット吹き始め、総員(8名)起床しセールオン。艇の挙動も安定し「まぐろ2名」もゴソゴソと何か食べ始めている。難所「名島」の南を通過する頃には東の空が白み始めGPSだよりのセーリングから視認セーリングへ、ほっとひと安心。午前5時30分にフィニッシュ地点に無事到着しアンカリング。先ずは朝食。持参のおにぎりと船上でのJORDAN特製バイキングサンドイッチ。食パンを好みの厚さに切りバター、キュウリ、レタス、ソーセージ、トマト他好みの食材をたっぷり挟んで最後に辛子マヨネーズを絞り出して笑顔で“いただきまーす”。同乗のカナダ友人持参のナイアガラワインで乾杯。友と潮風に包まれて人生至福の時を味わう、博多ヨットクラブ万歳!満腹感と酔いとオーバーナイトの疲れとともに、血圧、健康診断、年金、親の介護、孫自慢、ツラツラと熟年セーラーの会話が盛り上がるうちにトップ艇からの「フィニッシュまで3マイル」の無線コール。南東方面から突進してくるトップ艇「MALOLO」と東海面からトップスピードの「May be」のフィニッシュ前のデッドヒートが面白い。その後レース艇が順次フィニッシュ。ヨットはどこから見ても絵になるしセクシーです。17艇エントリー中5艇がリタイア、完走12艇。スタート時点での無風、超微風状態を聞いていたので16時過ぎにレース続行の12艇が無事フィニッシュできてよかったです。シングルハンドの「Notari 3」と「Happy Holiday」のフィニッシュ前のバトルもかっこよかったね。おまけに修正で1位と2位、風が無い時の粘りと頑張りに敬服。
2015年6月21日(日)の第4レースは“Le Grand Blue 3”チームに本部船を担当していただきました。昨年からレースに参加されていますが本部船は初めてということで、ちゃんとできるだろうか不安一杯と仰っていました。HYCではレース本部船は会員艇の持ち回りで担当していますので、レース参加受付からスタートライン設置、スタート、フィニッシュまでレース運営のノウハウを学んでいただくことはクラブ活動の将来を考えると大切なことです。そのため本部船運営に少々の難があっても「ノープロブレム」と皆さん寛容です。
今日は梅雨の最中ですが天気も良く、安定した北寄りの風8ノット前後という予報が出ています。午前8時半に運営メンバーがクラブハウス2階ラウンジに集合しました。Kオーナーに「今日はよろしくお願いします。本部船運営マニュアルどおりにやってもらえば大丈夫ですよ」と挨拶すると、やっぱり不安なのでハーバー事務所の鬼塚氏(元福大ヨット部監督)にスタートだけ乗ってもらうようにしたとのこと。鬼塚さん、Kオーナーのわがままなお願いにお付き合いいただいて申し訳ありませんでした。先ずは今日のレースコースを決めます。レース委員長と相談のうえ博多湾口の「机島」を反時計に回る12マイルのコースに決定しました。受付メンバーを残して他のメンバーは、マークブイや信号旗、フォグホーン、メガホンなどの本部船運営用品を倉庫などから取り出して船に積み込みます。午前9時から受付を開始し10時の終了時点で19艇の参加がありました。
10時に受付を閉鎖してさっそく出港します。今日は天気がいいので海面にはディンギーがたくさん出ています。その中を鬼塚氏の指示で沖合に進み、アウターのマークブイを設置して風向を見ながら本部船をアンカリングしてスタートラインを設置しました。遠く沖合の大原沖の海面にもディンギーがたくさん出ていて、どうやらレースをやっているようです(国体予選?)。回航地点の机島へのライン上ですので、HYC艇はその中を突っ切って行くようになりそうです。ディンギーの皆さんには迷惑な話でしょう。ごめんなさい。全般的に北北東の風で風速は8ノット前後、予報通りのコンディションです。梅雨の合間の絶好のセーリング日和り、参加各艇からも笑顔と笑い声が聞こえて本当に楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
午前11時ちょうどのスタート時刻の直前に風が瞬間的に西に振れ、アウタースタートを狙っていた艇が慌てていましたが、1艇のリコールがあっただけで無事にスタート。6マイル先の「机島」目指して熱い戦いの火ぶたが切られました。西に振れた風も北に戻り、西海面に伸ばすもの、タックして東海面を狙うものと、各艇思い思いのコースを選択して沖合に走り去って行きました。途中で風も10ノット前後にアップして、場所にってはブローで16ノットに達したところもあったようです。今日は途中で風が落ちることもなく、トップ艇が12:42:07にフィニッシュ、最終艇が13:39:27にフィニッシュと、2時間40分ほどで無事にレースが終了しました。本部船の皆さん、本当にご苦労様でした。鬼塚大先生の指導を受けて本部船運営をマスターされたことと思います。来年もよろしくね!
[以下は“Le Grand Bleu 3”のKオーナーからのコメントです。]
Le Grand Bleu 3 初めてのHYCレースの本部船運営。今日は梅雨と言うのに、朝からいい天気!参加艇も19艇と今年最多、プレッシャーがかかります。でも大丈夫! 我々には事前にお願いしてた、天下の鬼塚氏が!と言う事でレース海面に向かいます。風は7ノット前後の北北西のいい風が吹いてます。大先生と相談しながらスタートマークを打ち、準備完了!スタートを待ちます。その間、色々ありましたが(風が東に振れてきたばってん本部船下げるかいな~とか、アンカー効いとうかいな~とか、LWからは、あんたわかっとろ~まけらなよ~など)。 本部船からは各艇の動きがよくわかり、おまけに大先生の解説付き(笑)。(あの船の・・氏は、あのへん狙って、しもから出るばい!)ってな具合で!
スタート時間が迫り緊張が走ります。リコール艇は有りましたが無事にスタートが出来ました、よかった、 よかった。大先生とヨット談義しながらハーバーにお送りし、スタートラインに戻りしばしの休息と思いきや、沖合の方になんか見えて来てます(まだ1時間過ぎたぐらい)。白地に赤・青の横ライン、Humming bird Ⅴのジェネカーのようです。その後ろに真っ赤なジェネカー、多分May beでしょう。その後ろにも色とりどりのスピンやジェネカーが見えています。ビールでも飲んでゆっくりしようと思っていたのに、あっという間にトップ艇フィニッシュ!(なんと1時間42分07)速すぎです!その後も次々にフィニッシュして、無事に終了しました。ハーバーに戻り結果報告を終え、初めての本部船の務めを無事終える事ができました。最後に、今日の風はグランブルーの風やったね~と 言いながら・・・。
2015年5月17日(日)の第3レースは“Free style”チームに本部船を担当していただきました。今日は天気も良く、予報ではMaxで10ノット前後の北寄りの風となっています。予定では湾外コースということになっていますが、宗像沖の「相島」回航だと26マイルほどの距離になり、小型艇にはちょっときついかなということでレース委員長と相談のうえ、博多湾口の「玄界島」→「机島」をぐるっと反時計に回ってくる約15マイルのコースに決定しました。午前11:00に参加17艇が全艇オールフェアできれいにスタートし玄界島を目指していきました。ちょうど2年前の5月に韓国・釜山に向けて回航中に対馬沖で海難事故に遭った“METAXA Ⅴ”が、2年ぶりにオーナーヘルムでレースに復帰しました。これから活動を再開されるようです。
風は弱いながらも5~8ノットは吹いており、場所によってはブローで10ノット前後の風を受けて快調に走る艇もあるかと思えば、2~3ノットの微風に捉まって苦労した艇もあったようです。スタート後まもなく東海面に伸ばした大型艇の“Humming bird Ⅴ”、“MALOLO”が終始リードし、13:29:10に“Humming bird Ⅴ”が1着でフィニッシュ、13:30:50に“MALOLO”が2着、13:31:16に“May be”が3着と接戦でした。15:10:32に最終艇がフィニッシュして無事にレースを終了しました。なんでも本部船はトラブルがあったようですが、チームFree style・ヘッドセールトリマー、毎回埼玉から応援参加のTo氏から楽しい本部船運営記が寄せられましたましたのでご覧ください。
[以下は“Free style”Toさんからのコメントです。]
本部船運営は今回で2度目です。初体験の前回は思うように風が吹かず、我々のせいでは無いのですがリタイヤ艇やDNF艇が出てしまいほろ苦い思い出となっていますので、今回はうまくやるぞ、と気合が入ります。ところが、わがチームはフルメンバーで7人のところ、今日は男性3人が欠席、男女2名ずつの4名での運営となりました。無事にできるのか?ノッケから、若干の不安が頭をよぎります。
8時45分、わがチーム自慢のウグイス嬢Iちゃんによるレース開催のアナウンス(女性の声って、やっぱりいいでしょ?男ばかりの本部船オーナーさん、彼女貸し出しますよ。有料ですが)。10時に受付を終えて、いざ出航。実はわが愛艇、本部船運営にタイミングを合わせてマストを取り外してチューニング中なのでした。信号旗を揚げられないのは困る、ということでマストの代わりに用意した紅白に燦然と輝く棒を高々と屹立させての出航です。
風が弱い、できるだけ沖にスタートラインを設定したかったのですが、ディンギーの練習海面を避け、時計をみるとナントもう10時25分!時間がありません。急いでアウターを打ち終え、投錨したところでトラブル発生!周囲の参加艇の動きに気をとられている隙に、アンカーロープをペラに巻いてしまったのです!ロープを引っ張ってもビクともしません。エンジンは停止して立ち往生です。皆さんからは良く分からなかったかもしれませんが、スタートライン設定時のわが艇は、軽いパニック状態だったんですよ。「スタートラインが短いから打ち直してくれ」って言われたらどうしよう、とか、スタートの合図じゃなくて「助けて」の合図の旗を揚げた方がいいんじゃないの?とか、オマエ潜ってほどいて来い、嫌です、そんな会話が飛び交っていました。こんな状況では走錨してしまうかもしれない、ということで、予備のアンカーを投入、気を取り直して運営作業に集中です。
11時ジャストにオールフェアでスタート。みなさん、本当にきれいなスタートでした。本当なら、アンカーを揚げて参加艇の勇壮な姿を撮影するつもりが全く身動きがとれず、ただただ救助を待つのみです。半ばふてくされて缶ビールをあおりますが、もう11時半!志賀島での豪華な昼食というお楽しみがなくなってしまったばかりか、昼ごはんは目の前にある煎餅とポテチだけになるかもしれません。あ〜あ、やっぱりオマエ潜れ、絶対嫌です、という不毛な会話をしていると、「あれ、なんか解けてませんか?」と女性クルーの声が。なんと!あれぼど絶望的にビクともしなかったアンカーロープが、クリートから斜めに海底に向かっているではないですか!とビクビクしながらエンジンをかけ、移動してみますが異常は無いようです。普段の行いが良いと、こういうこともあるんですなぁ(-。-)y-゜゜゜とりあえず小戸に帰って船底の確認と弁当の買い出し。問題なし。ありがとう神様。
風も上がってきたようなので、もしかしたらトップ艇がもう帰ってくるかも知れない、と急いでゴールラインを設定しに戻ります。弁当を掻き込みガスった海面を見ていると遙か彼方に3〜5艇の小さな影。まだ1時間以上はかかりそうです。やはり豪華な昼食にすればよかった・・・。どうやら今日は接近戦の様相です。Humming bird Ⅴを先頭に40ftクラスが団子で帰ってきます。そして後続も付かず離れずゴール。本部船として言うことなしのうれしい状態です。そして、参加17艇すべてが無事タイムリミット内のゴールでした。波乱なしのレースかなと思っていたのですが、後で聞けば無風状態でドラマがあったとか。離れたところで待っているだけでは状況が解らないものです。各艇のデータが簡単にPCで見られると運営ももっと楽になり、豪華昼食が食べられることでしょう。
ところで、わが艇自慢のマスト代わりの赤白の棒ですが、残念ながら皆さんからの評価は辛口でした。「かっこ悪い」、「盆踊りですか?」はたまた「難民船みたいだ」などなど、散々な言われようです。くやし〜。来月の第4レースを見ていてください。メンテされたマストを立てて颯爽と走る予定です。!?
2015年4月19日(日)の第2レースは“翔風チーム”さんに本部船を担当していただきました。現在エンジン不調で修理中のため41フィートのヨットをお借りしての運営です。コースは博多湾口の「机島」を時計回りで回ってくる13マイルほどの距離です。天気は雨で南の風5~10ノットの予報でした。前日から雨の予報もあってか参加艇は17艇。午前11:00に全艇オールフェアでスタートし、一斉にスピン、ジェネカーが展開されスタボードタックのまま能古島寄りに進む艇、すぐにジャイブして西海面に伸ばす艇に分かれました。海面はほぼイーブンでしたが、結果としては西海面を選択した艇がリードしたようです。コース半ばの机島手前で風が止まって再スタート、帰りの能古島手前で再び風が止まって再スタートとなかなか難しい気象コンディションでしたが、終始西海面をトップ位置で走った“Humming bird Ⅴ”だけがいい風を掴み、無風に苦しむ他艇を尻目に貫録の走りでファーストフィニッシュ。修正でも堂々の1位を獲得しました。順風だと30フィートクラスでも2時間半から3時間くらいでフィニッシュするところを2時間10分ほどでフィニッシュ、2着の“MALOLO(ファースト40)”に1時間20分以上の大差を付けての圧巻の走りでした。
[以下は“翔風”K氏からのコメントです]
「翔風」がエンジン修理中で出港できないので、知り合いのジャヌー41をお借りして本部船を務めることとなったため運営メンバー4人は通常より30分早く8時にハーバー集合。前週に一度試運転していたので余り不安はなかったものの41フィート艇の操船に慣れていないメンバーなので、事前に艇の装備・計器類などの確認やレース用具の積み込みをしていたらいつの間にやら8時半を過ぎており、レース受付準備のためクラブハウス2階へと急ぐ。風の予報がSE~SSE8~10ノットとのことなので吉川レース委員長と協議して机島時計回り、11時スタート、17時タイムリミットと決定。レース受付開始して、天候が雨模様なので参加艇が少ないのでは…と心配したが結果的には総数17艇と何とか普通の規模までに到達して一安心。
東寄りの風だったため本部船より風下側のアウターマークをやや有利となるようスタートラインを設定。スタート時刻が近づくにつれ風が南へシフトして、しかも3~4ノットと弱まって行く中、11時ジャストにオールフェアでスタートを切る。微風の中、レース艇団はジェノアあるいはジェネカー、スピンを揚げて東方面と西方面とそれぞれの戦術に沿ってコースを選択している。この時点で本部船としては長期戦を覚悟し、雨も降っているのでとにかくキャビンでゆっくりしようということになる。41フィート艇のキャビンはさすがに広々としていて居心地はとても良く、これで酒とツマミがあれば楽しい宴会ができそうやねとか、こんな日にレースするのもしんどいね…とか雑談しながら昼食をぱくつき、食後のコーヒー飲み、中にはウトウトする者もいてすっかり寛いでしまう。
相変わらず小雨模様の微風状態なので、どんなに早くてもトップ艇は14時くらいだろうと予想していたところ、念のため12時半過ぎに視界の悪い沖合を双眼鏡で覗くと薄い船影をひとつ発見。このころになるとSEの風が少し強まったようで、みるみる内に近づいてきたのは「Humming birdⅤ」。何と13時10分15秒にダントツでフィニッシュ。後続艇は遠く沖合に3~4艇がやっと確認できるだけで、14時半過ぎに2番手のMALOLO、Bambino、Jetta、ENTERPRISE LILYと続いてフィニッシュラインを通過。そのような状況で「May be」が機走で本部艇に近づいてきたので、すわトラブル発生か…と緊張していたところ、メンバーの一人が出張の飛行機に間に合わないので急遽リタイアとのこと。我々と同じ宮仕えの境遇?のヨット乗りはつらいなと…同情しきりの本部艇でした。そうこうする内に風速も10ノット前後に上がり、後続のレース艇も次々に見え始め、15時21分06秒に最終艇がフィニッシュ。終わってみれば、意外と早く終わってしまった第2レースでした。皆さんお疲れ様でした。
3月15日は2015年HYCシリーズレースの第1戦でした。約4か月ぶりのレースを待ちわびた16艇の会員艇が冬眠から目覚めて参加しました。第1レースの本部船は昨年の覇者、年間総合優勝艇の“May be”チームが引き受けていただきました。
事前の天気予報では全般的に曇りで午前中は一時雨のところもあるとのことでしたが、予想に反して雨の恐れはなく、時折り陽が差すまずまずの天気でしたが風は弱く、予報では1~6ノット。コースは小戸沖から博多湾口のクタベ瀬灯浮標を時計回りの約10マイル。長丁場のレースになりそうです。スタート時間には4~5ノットあった風も次第に弱まり、スタート後1時間も経過すると風速計の表示は0~1ノット、艇速もほとんど0の状態が続き各艇苦労していたようです。それでも13時半ころには東から7ノット前後、ブローで10ノットの風が入りだし各艇スピンネーカー、ジェネカーにいっぱいの風を受けてフィニッシュを目指していました。一時は17時のタイムリミットも頭の片隅にありましたが、トップ艇が13:57にフィニッシュ、最終艇も15:11にフィニッシュして無事にレースが終了しました。レース後に聞いた話ではクタベ瀬灯浮標に回航時に風速が0ノットだったこともあり、2艇が灯浮標に軽く接触して360度回転したようです。
今回のレースで際立っていたのが、トップ艇から最終艇全艇に対して、フィニッシュ時に本部船のホーンの音とともに本部船のデッキに全員が勢ぞろいして労いの拍手で迎えてくれたことです。私も30年以上クルーザーレースに参加していますが、こんなフィニッシュの迎えは初めての経験でした。まさに「お・も・て・な・し」の精神溢れた“May be”チームの皆さんでした。オーナーの人柄なのでしょうか、ありがとうございました。
[以下は本部船“May be”のYオーナーからのコメントです]
去年は壱岐レースでスタートのみの本部船でしたが今回は初めてのフルの本部船を務めさせてもらいました。何故かフルクルーメンバー11人、女性ゲスト4人、プロカメラマン1人の16人の定員一杯の参加となりました。レースの時でさえここまで集まらないのにどうしてこんなに集まるのか意味がわかりません。しかしそれなりにみんな楽しいひと時でしたがやはり帆走りたかったですね。
ところで本題ですが、スタートラインは本部船アンカリングの後の風のシフトにより下有利となりましたがスタートも一発でオールフェアで安心しました。
スタート後しばらくは本部船付近はずっと良い風でしたが、双眼鏡で確認すると机島付近でレース艇が彼方此方の方を向いて止まっているのが確認でき、これはタイムリミットまでかかりそうな予感が頭の中をよぎりました。しかしその後風も上がったようで時間内に全艇フィニッシュ出来てホッとしました。1艇マークタッチがあったように聞きましたが大した事故もなく、無事に今年の第1レースが終えて良かったです。
11月16日(日)の第10レースは今シーズンの最終戦。年間総合優勝の行方が掛っている大事なレースです。今日の本部艇はレース常連の“麻里絵”さんに初めて担当していただきました。本部艇運営は初めてということでクルーメンバーが他艇が運営した本部艇に勉強のために乗り込むなど準備は万端です。 予報では11月のこの季節にしては珍しく波もなく穏やかで、風も3~10ノットで本部艇にとっては心地いいコンディションです。コースは博多湾口の「クタベ瀬灯標」を時計回りに回ってくる12マイルです。
[以下は本部艇“麻里絵”号の井手氏からのレポートです]
11月16日の第10レースは麻里絵チームとしては初めて本部艇を務めさせていただきました。担当は倉重、井手で前日はクルーの千住さんの3年遅れの古希のお祝い会でした。5月第3レースでは本部艇MALOLOさんに同乗して運営の助手をさせていただいてこの日に備えていました。運営メンバー5人は8時過ぎにはハーバーに集合して、屋外の倉庫「はこじろう」からマークブイと各種フラッグ、クラブハウス内の船具箱からフォグホーンやメガホンを取り出して麻里絵に積み込みます。8:30にはHYC事務局から受付用品一式を受け取り2階のオーナーズラウンジで受付の準備。レース委員長もやってきて本日のコースを決定しました。麻里絵Yオーナーは「お前たちしっかり務めるように」と言われレース参加のためZEPHYRUSさんへ里子に行っていただきました。受付をしつつも出港準備、アンカーロープも新調しており長さも十分にありました。
9:00から受付開始。途中で2回ほど場内放送で受付のアナウンス。16艇がエントリーして10:00に受付を終了。スタート海面に行くと、風は南東で3~4ノット、クタベ瀬は330度方向でどうみても追い風スタートになりそうでした。スタートラインをもう少し長くとかもうちょっと南へ寄せてなどのアドバイスをいただきながらスタートラインを設定、皆さん近付いてラインを流したりしていました。
10:55に5分前の予告信号、10:56に4分前の準備信号を上げますが、下(アウターマーク)寄りのスタートを狙っている艇が多くリコールが心配でした。初めての本部艇運営なので、「リコール艇が出ないように、ましてやゼネリコなどにならないように」と祈っていました。スタートへのカウントダウンを続けていくうちに、どうやらリコールはなさそうと分かり午前11時に予定通りのスタートができました。一息ついて沖を見渡しますがなかなか風は上がりません。先月の第9レースも風が弱く7艇がタイムリミット(午後5時)に間に合わなかったので、今日も同じ展開になるのかなと不安がよぎりました。May beさんの赤ジェネカーはしっかり視認できますが、なかなかジェネカーもダウンになりません。大原、西浦の岸寄りの西海面に伸ばす艇団、かたや玄界島、志賀島方向の東海面に伸ばす艇団と、それぞれの思惑でコースを選択しています。果たしていずれに勝機が訪れるのでしょう。そのうち風も北にシフトした様子でした。13:47:56にSuru Sumiさんがファーストホーム、続いてMay be、Humming bird Ⅴ、ZEPHYRUSとフィニッシュし、我がYオーナーもZEPHYRUS艇上で元気そうにスピンをトリムされていました。14時までにSIESTAさんが12着でフィニッシュ。風も西寄りで安定し15ノット前後となり14:43:37にHappy Holiday さんが最終フィニッシュしひと安心、後片付けしながら帰港しました。帰港後に聞いた話では、レース参加の「B艇」が「クタベ瀬灯標」近くでキールを岩に当てたそうです。詳しい状況等は後ほど事務局よりHPで報告があると思います。
クルー全員初めての本部艇運営経験でしたが、天気と風にも恵まれて無事に一日を終えることができました。先輩方、博多ヨットクラブの事務局の皆様方に感謝すると共に、来年も1レースくらいは本部艇を担当する心意気で今後も麻里絵チームで練習、レースに励む予定です。皆様よろしくお願いいたします。
10月19日(日)の第9レースの本部艇は“Freestyle”さんに担当していただきました。本部艇運営は初めてということで、運営マニュアルをしっかり頭に叩き込んで慰労の無いように努めます。第9レースは「湾外コース」の予定でしたが朝から風が弱く(北東~北の風1~2ノット)、予報でもMax8ノットくらいだったため、予定していた宗像沖に浮かぶ「相島」回航を断念し、博多湾口から西北西4マイルに位置する「長間礁灯標」を反時計で回ってくる全長20マイルのコースに決定しました。
運営メンバーはKオーナー以下6名(内2名はカメラマン)、8時半過ぎにはクラブハウス2階に集合して受付準備を始めます。9時から受付を開始し、その間、マークブイや信号旗など運営用品をヨットに積み込み、10時に受付を終了。今回のレースには16艇がエントリーしました。陸上の業務が終了したのでスタートラインを設置するため出港。小戸沖には来年3月まで「のり網」が設置されたので、のり網の北側海面まで出て行ってアウターマークを設置し、風向を考慮して玄界島の右方向に対して直角になるように本部艇のアンカーを打ちます。これで準備万端と思ったのですが、参加艇から「ラインが短すぎる!もう少し伸ばした方がいい」とのアドバイスがあったので、アンカーを引き上げてラインを伸ばして再度アンカーレッコ。ようやく落ち着いたので信号旗やフォグホーン、タイムキーパーなどの役割を再確認して時間を待ちます。風は相変わらず弱く2ノット前後。風が弱いと艇速が出ず、スタート直前に潮に流されて「リコール」する艇も出てくるかもしれず、最悪の場合「ゼネリコ」という状況も想定して、その場合は音響信号とどのフラッグを掲げるのか、メンバーでしっかり打ち合せをします。願わくはリコール無しできれいにスタートしてもらいたい!!
10:55に長音一声と大きなクラブ旗(HYC旗)を掲揚。10:56に長音一声とP旗掲揚、「一発でスタートしてよ」と願いつつカウントダウンを続行。10:59に長音一声とP旗ダウンで1分前を告知。「出るなよ、出るなよ」と念じつつ各艇の動きを追います。11:00長音一声とHYC旗ダウン、第9レースのスタートです。それもリコール艇無しの「オールフェア!」。大役を終えてホッと胸を撫で下ろしました。今日はカメランを二人乗せているので、さっそくアンカーを引き上げてレース参加艇の写真撮影をします。幸いにも風が弱く各艇の艇速も遅いため、機走で走り回って写真を撮りまくりました。風が弱かったため、大きくヒールしたりスプレーを上げたりといったダイナミックなシーンはありませんでしたが、それなりにいい写真が撮れました。
ひとしきり写真を撮ってスタートラインに戻り、スタート時よりはかなり短めに、そして玄界島の左、机島方向に直角になるようにアンカーを入れて待機します。風も弱く波もほとんどなく、これは長丁場になるなと、ひねもすのたりのたりかなの心境でのんびりと寛ぎます。トップ艇でも5時間ほどかかるのではないかとただひたすら待つのみです。2時間ほど経ってから2艇から「リタイヤ」の連絡あり。16時前にようやくレース艇らしき船影が机島方向に小さく確認できました。後続艇の姿はまったくありません。15:33:32、スタートから4時間半強でトップ艇の“HummingbirdⅤ”がフィニッシュ。20分近く遅れて2着の“Jetta”がフィニッシュし、その後順次フィニッシュが続きます。間もなくタイムリミットの17時になりますが、こちらに向かって必死に走ってくる艇が5艇残っています。フィニッシュまで時間的には10分弱くらいの距離ですが、心を鬼にして「17時」のフォグホーンを長く鳴らしてレース終了を宣言。そのまま30分ほど留まってフィニッシュのホーンの代わりに「お疲れ様でした!」の声を掛けました。17時のタイムリミットまでに9艇がフィニッシュし5艇がDNF、2艇がリタイヤという結果になりました。10時過ぎにハーバーを出港し18時に帰港と、今日は長い1日になりました。いつもレースに参加しているだけなので、運営に携われていい経験ができました。今日はカメラマンが600枚ほど写真を撮影しましたがその中から少しだけ紹介します(HP掲載用にサイズを小さくしています)。 ※写真をクリックすると大きくなります
自艇のお気に入りの写真があればFreestyleのKオーナーにお願いすればオリジナルの高画質の写真データをいただけると思います。
9月21日の(日)の第8レースの本部艇は“ARK”さんに担当していただきました。第8レースは当初予定では「湾外コース」の予定でしたが朝から風が弱く(北東の風2ノット前後)、予報でもMax8ノットくらいだったため、レース委員長、会長相談のうえ博多湾口の「玄界島」を反時計で回ってくるコースに決定しました。北上中の台風16号の影響もなく穏やかなレース日和りに、オープン参加2艇を含む17艇がエントリーしました。
運営メンバーはOオーナー以下3名、8時半過ぎにはクラブハウス2階に集合して受付準備を始めます。9時から受付を開始し、その間、マークブイや信号旗など運営用品をヨットに積み込み、10時に受付を終了してスタートラインを設置するため出港。小戸沖には多くのディンギーが出ているため邪魔にならないように少し沖合にアウターマークを設置し、風向を考慮して玄界島の右方向に対して直角になるように本部艇のアンカーを打ちます。この時の風は北東、4~5ノットでまずまずのコンディション。11:00のスタート時刻に合わせて予告信号(5分前)、準備信号(4分目)のフラッグ(旗)を確認。10:55に長音一声と大きなHYC旗を掲揚。10:56に長音一声とP旗掲揚、この頃には風が北に振れて、スタートライン上をアウターマーク方向に走るとスタボードタックのクローズホールドぎりぎりになりましたが、このままカウントダウンを続行。10:59に長音一声とP旗ダウンで1分前を告知。アウターマーク有利と見た6艇ほどがアウターに寄っていきます。他は本部艇寄りからライン中央辺りでスタートするようです。11:00長音一声とHYC旗ダウン、最もアウター寄りから出た1艇がリコールしたので長音一声とX旗を掲揚して「リコール艇有り」を宣言。合わせてハンドマイクで該当艇の艇名をコールするとUターンしてラインに戻っていきます。
風が弱いのでこの分だと4~5時間は掛かるかもしれず幸いにも波もほとんどないのでのんびりと寛いで待っていましょう。スタートした艇団は志賀島方向の東海面と大原沖の西海面に分かれていきます。果たしてどちらが先にいい風を掴むのでしょう。スタート30分後くらいに志賀島の北海面が少し黒くなってどうやら風が入ってきているようです。こちらのコースを選択した“Humming bird”が最初にこの風を受けて艇速をアップしました。その後を“May be”、“Jetta”、“ZEPHYRUS”と続いているようです。その後風も8ノット前後と安定してきたようで、トップ艇は3時間くらいで帰ってくるかもしれません。
13:48:55に“Humming bird”がトップでフィニッシュ。13:58:55に“May be”が2着でフィニッシュ、14:13:00に“Jetta”が3着でフィニッシュ。その後も順調にフィニッシュが続き、15:56:00に最終艇がフィニッシュして無事に今日のレースを終了しました(1艇は途中リタイヤ)。アウターマークを回収してハーバーに帰港し、積み込んでいたレース運営用品を倉庫に戻し、レース参加費やフィニッシュタイムなどの記録を事務局に引き継いで本日の本部艇運営業務を終了しました。
8月2日(土)の第6レースは、暑い夏の日差しを避けて夕涼みがてらレースをしようという趣旨で続いている午後7時スタートの恒例のイブニングレースです。ただし今年は台風12号が九州西方沖を北上中で、東寄りに針路を変更した場合はレースどころではありませんでしたが、今のところ九州から遠く離れた西方海域を真っ直ぐ北上中です。台風の強風域に掛っていますが何とかレースはできそうです。本部艇はレース常連の“SIESTA”さんです。夕方には風もだいぶ収まり南東の風6ノット前後になったので、コースは「小戸沖スタート→能古島時計→ハツ瀬検疫ブイ反時計→能古島反時計→小戸沖フィニッシュ」に決めました。7月20日(土)・21日(日)、27日(日)、8月2日(土)、3日(日)、9日(土)・10日(日)とクルーザーレースが続き、なおかつ「台風12号」接近中ということもあったので参加は8艇と少々寂しい状況でした。
[以下は本部艇「SIESTA」号の島津氏からのレポートです]
HYC第6レースは壱岐レースと並びHYC名物ともいえるイブニングレースです。例年、イブニングレースは何故か成績の悪い我々SIESTAチームですが、今年は「イブニングは毎年成績悪いからいっそ本部艇しようや」と不埒な考えから、今回本部艇を引き受ける運びとなりました。のちにその考えが裏目に出るのですが、、、
私用があり、レース当日は朝10時からハーバー内をウロウロ、午前中は時折20knot以上のブローが入るなかなかのしびれるコンディション。雨も降っており、午後から実施された高木氏のセーリング講習会に参加されたHYC会員の皆さんからは「今日やるの~?」「カッパ着たくないな~」のご意見多数(笑)でしたが、17:00には風も4~8knotに落ち着きいよいよ2Fのオーナーズラウンジで受付開始です。
今回久しぶりにオーナーズラウンジに行ってみてビックリしたのが、プチ改装されていたこと!やはり、ハーバーの運営を行う指定管理者が変わった事が理由なのでしょうか?今までの雰囲気とはうってかわりマリンっぽい調度品で揃えられ、ちょっとした海外のヨットクラブ並みの雰囲気です。(行った事はないですが、、、) 圧巻は、KAZI誌のバックナンバーの豊富さ!懐かしのタイトルが漢字の「舵」時代のものから最近のものまで揃えられています。(余談ですが、我々ヨット乗りの悩みとして、よく「クルーの不足&高齢化」が言われますが、同レベルの深刻な悩みとして「自宅で増えゆくKAZI誌バックナンバー問題」も挙げられるのではないでしょうか?私自身も同居人に「いつになったら捨てるの!」やら「これ以上増えたら本棚が壊れる!」だの言われ、揚句にこっそり処分されている始末、、、同じ悩みをもっている方いらっしゃいましたらオーナーズラウンジに寄贈されるのも手かもしれません)。
話が逸れましたが、無事8艇のエントリーの受付も終了し、いよいよ海面にてマーク打ち&アンカリングです。二度アンカーを打ち直し、納得のできるスタートラインを設定できたらLet’s START!! 無事オールフェアで参加艇を送り出したら、しばしレース観戦です。能古島へ突っ込む船団と西に伸ばす船団と二つに分かれ、見えている範囲では能古組の方が有利のようです。普段の自分達のスタートは棚に上げて、「○○艇のスタートはバッチリだった」とか「△△艇はどこに向かってんだ?」などと、言いたい放題(笑) まさに岡目八目(オカメハチモク)ならぬ陸目八艇(オカメハチテイ)。やはりレースは客観的にみると冷静な判断ができる様です。その後、アンカーを打ち直し、フィニッシュラインの設定などをしているうちに20:15には能古島の西側にTOP艇の紅灯を発見、あれよあれよという間にTOP艇がFinish。21:30には全艇Finishと例年のイブニングレースとは違いスピーディーなレース展開となり、無事終了したのでした。
ただ、良く考えると8艇のエントリーだと、8位でも13 point付くんですよね、、、エントリーしとけばよかった!!!!(泣) 以上
7月第5レースは小戸沖から30マイル先の長崎県壱岐アイランドを目指す伝統の「壱岐レース」です。海の日前日の7月20日(日)午前1時に小戸沖をスタートし、いい風が吹けば日ノ出頃にフィニッシュ、風が弱いとそれこそ午後6時のタイムリミットぎりぎりということもあります。夜間のスタートとなるので各艇航海灯や懐中電灯、ライフジャケット、ハーネスなどをしっかり準備してレースに備えます。
今年は北部九州の梅雨明けはまだですが雨は7月17日までで降り止んでおり、梅雨明けも秒読み段階でどうやら雨中のレースは避けられそうです。あとは風が吹くことを祈るばかりです。
今年はスタート本部艇の手配ができず、レース参加艇の「May be」が全艇をスタートさせた後にアンカーを引き上げてレースに復帰することになりました。この場合「所要時間-10分」の救済をすることにしました。また壱岐フィニッシュの本部艇は壱岐レース常連の「ZEPHYRUS」が今年に限ってメンバーが揃わずにレース参加を断念したためフィニッシュ本部艇をお願いしました。
7月19日(土)午後9時半から出艇申告を受付け、オープン参加2艇を含む18艇がエントリーしました。午後10時から帆走指示書に基づき艇長会議を開催。ここ2~3年、レースに絡む落水・死亡事故が相次いでいるため、安全対策を徹底して決して落水しないこと等を伝えました。夜間のスタート、帆走になるため各艇長も真剣に艇長会議に臨んでいました。
スタート本部艇の「May be」は目印としてLEDライトをマスト下部からマストを照らして午前0時過ぎに出港してハーバー沖にアンカリング。リミットマークは設置せずにハーバー入口の入港灯(緑)をリミットマークに見立てて、本部艇を左手に見てスタートです。ハーバーからは航海灯を点けたレース参加艇が続々と出港してきます。気象コンディションは西寄りの風4ノット前後、波は0.5mほどなのでエキサイティングなスタートにはならないようです。夜間でもあるので何よりも衝突・接触をしないことが一番です。0:55に予告信号(長音一声とHYC旗掲揚)、0:56に準備信号(長音一声とP旗掲揚)、0:59スタート1分前(長音一声とP旗降下)、そして1:00ちょうどにスタート信号(長音一声とHYC旗降下)を発し、リコール艇なしできれいにスタートしていきました。スタート時の各艇の艇速は2ノット前後。あまり離されないように急いでアンカーを引き上げセールをアップして最後尾からレースに復帰です。この作業に要した時間は9分ほどだったので「10分」の救済時間は妥当なところでしょう。
[フィニッシュ本部艇レポート]…「ZEPHYRUS」号 Sオーナー
ここ15年ほど年1回の本部艇を務めてきましたが、壱岐レースのフィニッシュ本部艇は初めてです。
当初はレース参加予定でしたが、「仕事が入って」「体調が優れず」「家庭の都合で」と一人、また一人とメンバーが減ったためレース参加は断念しましたが、折しもフィニッシュ本部艇が決まらないとのことでしたので本部艇なら2人でも大丈夫だろうと引き受けました。梅雨明けが微妙なところで、もし梅雨末期の大雨にでも遭遇すると壱岐までの航海も大変なので明るい内に現地に到着しようと19日(土)正午に出港し、17:10にフィニッシュ地点の筒城浜海水浴場沖に到着し、アンカリングポイントをGPSに入力して西に3マイル離れた印通寺港を目指しました。印通寺港のプレジャーボート用の浮桟橋には、壱岐のHYC会員艇「OLIVE」号のSオーナーが待ち受けてくれて舫いを取ってくれました。さらには車で10分ほどの郷ノ浦の日帰り温泉「湯川温泉」に連れて行っていただき汗を流してさっぱりしました。そのあと印通寺に戻り、寿司割烹店で1年ぶりの再会を祝って乾杯。生ビール、壱岐焼酎、新鮮な刺身、〆の豪華うに丼で大いに旧交を温めました。22:00にはお開きにしてSオーナーは代行運転で郷ノ浦の自宅に帰り、我々はヨットに戻って03:30に目覚ましをセットして仮眠。
翌朝目覚ましの音で目覚め、風速計を確認すると「0~1ノット」。うーん、これだとレース艇はまだ博多湾を出ていないかもと思い「翔風」さんに電話を入れると、02:45頃に博多湾を抜け出し現在位置は長間礁と灯台瀬の間でトップ集団は3~4マイル先を走っているようだとのこと。風速は8~9ノット、艇速は4~5ノットということで、40フィートクラス艇は6~7ノットの艇速が出ているようで、残距離が15マイルほどでこの艇速だとトップ艇は06:00頃にはフィニッシュしそうです。当初予定どおり04:00に印通寺港を出港し、04:30に前日にプロットしたGPSポイントにアンカリング。水深は7m、波はほとんどなく西南西の風6~7ノット。本部艇にとってもレース艇にとっても楽なコンディションです。朝飯にはまだ早くトップ艇が来るまで特段何もすることがないので、ここは砂地で「キス」でも釣れるのではと朝マズメの時間を狙って釣り糸を垂れます。そのうちコツン、コツンとあたりが来ますが「キス」のあたりではないようです。ようやく竿がぐーっとしなり、待望の「キス」かと思いきや大きめの「クサフグ」でしたのでリリース、どうやら「キス」はいないようです。博多の方向に位置する3.5マイル沖合の「名島」周辺を双眼鏡で確認すると、ヨットらしい船影がふたつ見えています。おそらくトップ艇でしょう、いよいよです。魚釣りは中止してフィニッシュに備えます。ファーストホームは「Second Love」でフィニッシュタイムは6:21:03。2着は「Hummingbird」、3着はスタート本部艇を務めた「May be」。その後も途切れることなくフィニッシュが続き、最終艇「Happy Holiday」が9:52:18にフィニッシュして無事に壱岐レースが終了しました。
年によってはスタート後も風に恵まれずに夜明けを迎えても博多湾を出られずに悪戦苦闘。玄界島辺りで日の出を迎えることもしばしばですが、今年はスタート2時間後の午前3時頃には全艇博多湾を抜け出すという速い展開でした。風によっては午後6時のタイムリミットも覚悟していましたが午前10時前にはレースが終了し、なおかつほとんど波もなく穏やかな海でフィニッシュ本部艇も楽勝でした。こういう状況なら来年も本部艇をしてもいいかな。
フィニッシュ後、とんぼ返りで博多に帰る艇、フィニッシュ地の七湊港に入港して民宿で1泊する艇。北に5マイルの芦辺港に入港する艇。さらに北に15マイルの湯ノ本港に入港する艇。西に10マイルの郷ノ浦港に入港する艇と様々です。今回は7艇が西に3マイルの印通寺港に入港しプレジャーボート用の浮桟橋に係留して旅館や民宿に1泊です。この浮桟橋は先着順で、対岸の佐賀県唐津からモーターボートや他県からのヨットが利用していますがこの日は時間が早かったのでたまたまHYC会員艇が独占しました。ファーストホーム艇のSecond Loveが7時前に接岸。その後をJORDAN、MALOLO、Freestyle、翔風、HIRO、最後にフィニッシュ本部艇のZEPHYRUSが接岸しました。宿の迎えのバスが来る午後1時半までの間、ヨット上では各艇それぞれに朝食を取って寛いでいましたが、レース後の解放感からか時間を持て余してか、桟橋上にビールやつまみを持ち出して炎天下の青空大宴会が進行していきました。博多湾は「赤潮」の影響か海が濁っていましたが、さすがに壱岐の海はきれいです。桟橋の水深は6mほどですが底が見えるほど透明度があり、ヨット小僧(?)たちが一人、二人と海に飛び込んで泳いでいました。すぐ近くの新鮮な地場産品の直売所「マリンパル壱岐」で刺身やタコ、はてはサザエも大量に買い込んで、ヨットのギャレーからコンロを持ち出して「サザエの壺焼き」まで出てくる始末で大いに盛り上がっていきました。圧巻はMALOLOのSオーナーがアイフォンに外部スピーカーを接続して「臨時カラオケ」まで飛び出して、さながら各艇対抗カラオケ大会の様相を呈し壱岐の夏を堪能していました。壱岐の皆さん、本当にお騒がせしました。
1時半に湯ノ本の国民宿舎・壱岐島荘から迎えのマイクロバスが来たので同宿のSecondLove、MALOLO、JORDAN、翔風、ZEPHYRUSのメンバーはバスに乗り込み宿に向かいました。やはり同宿のSIESTAはフィニッシュ後クルージングがてら湯ノ本港まで回航です。壱岐島荘に到着するとさっそく天然温泉に浸かってレースの疲れと桟橋での宴会の酔いを吹き飛ばします。泉質はちょっとしょっぱい赤茶色のナトリウム塩化物泉で身体の隅々まで染み渡って天国です。午後6時から湯ノ本港を見下ろすレストランを貸し切って6艇のメンバー総勢42名での大宴会の始まりです。HYC山田会長の乾杯の発声で、普段はほとんど交流のない各艇のクルー入り混じって懇親を深めました。午後9時に博多祇園山笠60年のキャリアを持つ黒住副会長の「博多手一本」でお開きになりました。
翌日は7時10分から朝食を取って8時半に2台の車に分乗して印通寺港に向かいました。浮桟橋では他の民宿に泊まったHIRO、Freestyleが出港準備を始めています。「壱岐島荘」組は帰りの船中での食料、飲み物、氷、そしてお土産を求めて全員が直売所「マリンパル壱岐」に直行して大量に買い込みました。そして9時半から9時45分にかけて次々に出港してホームポートを目指しました。