8月1日(土)に予定している第6レース・イブニングレースは「タモリカップ福岡2015」と日程が重なったため今年は中止とします。ただし、年間シリーズレースの一つとしているため、タモリカップのフィニッシュタイムをHYCレーティングで修正して第6レースの成績とします。このことは既にHYC会員(艇のオーナー)の皆様にはお知らせしていますので、シリーズレースに参加されている皆さんはぜひ「タモリカップ」にご参加ください。
真夏の祭典!タモリカップ福岡2015のレース公示が発表され、待ちに待った第3回目の福岡大会開催に向けて動き出しました。大会日は8月1日(土)、2日(日)で参加申込み受付は6月1日からです。前夜祭には熱狂的なステージで会場を大いに沸かせた日本一のサルサバンド“オルケスタ・デ・ラ・ルス”が昨年に続き登場します。今年こそ台風や雨に影響されずに、暑い博多の一大ページェントが繰り広げられることを祈っています。博多湾に100艇以上のクルーザーヨットのセールを花咲かせましょう。多数の参加をお待ちしています。
2015年5月17日(日)の第3レースは“Free style”チームに本部船を担当していただきました。今日は天気も良く、予報ではMaxで10ノット前後の北寄りの風となっています。予定では湾外コースということになっていますが、宗像沖の「相島」回航だと26マイルほどの距離になり、小型艇にはちょっときついかなということでレース委員長と相談のうえ、博多湾口の「玄界島」→「机島」をぐるっと反時計に回ってくる約15マイルのコースに決定しました。午前11:00に参加17艇が全艇オールフェアできれいにスタートし玄界島を目指していきました。ちょうど2年前の5月に韓国・釜山に向けて回航中に対馬沖で海難事故に遭った“METAXA Ⅴ”が、2年ぶりにオーナーヘルムでレースに復帰しました。これから活動を再開されるようです。
風は弱いながらも5~8ノットは吹いており、場所によってはブローで10ノット前後の風を受けて快調に走る艇もあるかと思えば、2~3ノットの微風に捉まって苦労した艇もあったようです。スタート後まもなく東海面に伸ばした大型艇の“Humming bird Ⅴ”、“MALOLO”が終始リードし、13:29:10に“Humming bird Ⅴ”が1着でフィニッシュ、13:30:50に“MALOLO”が2着、13:31:16に“May be”が3着と接戦でした。15:10:32に最終艇がフィニッシュして無事にレースを終了しました。なんでも本部船はトラブルがあったようですが、チームFree style・ヘッドセールトリマー、毎回埼玉から応援参加のTo氏から楽しい本部船運営記が寄せられましたましたのでご覧ください。
[以下は“Free style”Toさんからのコメントです。]
本部船運営は今回で2度目です。初体験の前回は思うように風が吹かず、我々のせいでは無いのですがリタイヤ艇やDNF艇が出てしまいほろ苦い思い出となっていますので、今回はうまくやるぞ、と気合が入ります。ところが、わがチームはフルメンバーで7人のところ、今日は男性3人が欠席、男女2名ずつの4名での運営となりました。無事にできるのか?ノッケから、若干の不安が頭をよぎります。
8時45分、わがチーム自慢のウグイス嬢Iちゃんによるレース開催のアナウンス(女性の声って、やっぱりいいでしょ?男ばかりの本部船オーナーさん、彼女貸し出しますよ。有料ですが)。10時に受付を終えて、いざ出航。実はわが愛艇、本部船運営にタイミングを合わせてマストを取り外してチューニング中なのでした。信号旗を揚げられないのは困る、ということでマストの代わりに用意した紅白に燦然と輝く棒を高々と屹立させての出航です。
風が弱い、できるだけ沖にスタートラインを設定したかったのですが、ディンギーの練習海面を避け、時計をみるとナントもう10時25分!時間がありません。急いでアウターを打ち終え、投錨したところでトラブル発生!周囲の参加艇の動きに気をとられている隙に、アンカーロープをペラに巻いてしまったのです!ロープを引っ張ってもビクともしません。エンジンは停止して立ち往生です。皆さんからは良く分からなかったかもしれませんが、スタートライン設定時のわが艇は、軽いパニック状態だったんですよ。「スタートラインが短いから打ち直してくれ」って言われたらどうしよう、とか、スタートの合図じゃなくて「助けて」の合図の旗を揚げた方がいいんじゃないの?とか、オマエ潜ってほどいて来い、嫌です、そんな会話が飛び交っていました。こんな状況では走錨してしまうかもしれない、ということで、予備のアンカーを投入、気を取り直して運営作業に集中です。
11時ジャストにオールフェアでスタート。みなさん、本当にきれいなスタートでした。本当なら、アンカーを揚げて参加艇の勇壮な姿を撮影するつもりが全く身動きがとれず、ただただ救助を待つのみです。半ばふてくされて缶ビールをあおりますが、もう11時半!志賀島での豪華な昼食というお楽しみがなくなってしまったばかりか、昼ごはんは目の前にある煎餅とポテチだけになるかもしれません。あ〜あ、やっぱりオマエ潜れ、絶対嫌です、という不毛な会話をしていると、「あれ、なんか解けてませんか?」と女性クルーの声が。なんと!あれぼど絶望的にビクともしなかったアンカーロープが、クリートから斜めに海底に向かっているではないですか!とビクビクしながらエンジンをかけ、移動してみますが異常は無いようです。普段の行いが良いと、こういうこともあるんですなぁ(-。-)y-゜゜゜とりあえず小戸に帰って船底の確認と弁当の買い出し。問題なし。ありがとう神様。
風も上がってきたようなので、もしかしたらトップ艇がもう帰ってくるかも知れない、と急いでゴールラインを設定しに戻ります。弁当を掻き込みガスった海面を見ていると遙か彼方に3〜5艇の小さな影。まだ1時間以上はかかりそうです。やはり豪華な昼食にすればよかった・・・。どうやら今日は接近戦の様相です。Humming bird Ⅴを先頭に40ftクラスが団子で帰ってきます。そして後続も付かず離れずゴール。本部船として言うことなしのうれしい状態です。そして、参加17艇すべてが無事タイムリミット内のゴールでした。波乱なしのレースかなと思っていたのですが、後で聞けば無風状態でドラマがあったとか。離れたところで待っているだけでは状況が解らないものです。各艇のデータが簡単にPCで見られると運営ももっと楽になり、豪華昼食が食べられることでしょう。
ところで、わが艇自慢のマスト代わりの赤白の棒ですが、残念ながら皆さんからの評価は辛口でした。「かっこ悪い」、「盆踊りですか?」はたまた「難民船みたいだ」などなど、散々な言われようです。くやし〜。来月の第4レースを見ていてください。メンテされたマストを立てて颯爽と走る予定です。!?
「海を愛するタモリの日本一楽しいヨットレース」が今年の夏も開催される予定です。一昨年の第1回大会は台風のためレースは中止で「大バーベキュー大会」で大いに盛り上がりました。昨年の第2回大会も台風接近により延期開催となり雨中の「大バーベキュー大会」でしたが日本を代表するサルサバンド“オルケスタ・デ・ラ・ルス”のステージに熱狂し、迫力のあるレースも実施できました。そして3回目の今年こそは真夏の空の下での開催を願っています。
福岡大会は8月1日(土)、2日(日)で開催される予定です。横浜大会は9月12日(土)の1日で敢行される予定です。さらに今年は北陸の富山大会(7月18日、19日)、東北大会(仙台9月20日)が新たに開催されるようです。福岡大会には昨年に続き“オルケスタ・デ・ラ・ルス”もスケジュールを空けているようです。近日中には大会実行委員会から詳細が発表されると思われます。
7月のHYC第5レース・壱岐レースにつきましては次のように艇長会議及びスタート時刻を変更します。
艇長会議は7月18日(土)午後5時からクラブハウス2階のラウンジ(出艇申告は午後4時30分~午後5時)。スタート時刻は19日(日)午前4時とします。タイムリミットはこれまで通りの19日(日)午後6時です。
長年にわたってナイトレースとして実施してきた「壱岐レース」ですが、乗員や艇体の安全を最優先とし、博多から壱岐までの玄界灘を楽しいレースをしていただくためにスタート時刻を変更するものです。スタート後まもなく空も白んできますので、これまでのように真っ暗な中をGPS機器とにらめっこで浅瀬や暗礁などに注意しながら操船する緊張感が少しは和らぐものと思います。
HYC会員(艇のオーナー)には別途メールでお知らせしていますが、会員以外でオープン参加を予定されている方はお間違いないようご注意ください。詳細についてはクラブ事務局にお問い合わせください。
博多ヨットクラブでは昨年より福岡在住のプロセーラー高木 裕(ユタカ)氏を講師に「セーリング講習会」を開催しています。今年は海に出て実践的な講習を行います。講習会の内容は、スタートラインを設置してスタート練習を何回か行い、最後に上マークを回る上・下のソーセージコース(スタート→上マーク→下マーク→上マーク→フィニッシュの4レグ)のミニレースを行います。タイムを競うものではありませんので乗員数やメンバーの技量により、「上マーク→下マーク」のダウンウインドレグはスピン、ジェネカーを使わなくても構いません。また第1レグの上マーク回航時点で取り止めても結構です。スタート練習ではサポートボートの高木講師が各艇に対して適宜指導を行います。また練習の模様をビデオ撮影して解説を行います。日本を代表するプロセーラーからアドバイスしていただけるまたとない機会ですので参加をお待ちしています。なお参加申込みはHYC会員艇に限らせていただきます。自艇で参加したいがメンバーが揃わない、或いは自艇は参加できないがクルーが参加したい(参加させたい)という方は合同で参加されるか、又は、事務局で調整させていただきますので事前にご相談ください。
【日 時】 6月14日(日)09:00~15:30
09:00~ ハーバー集合、受付、艇の艤装(スターン部にHYC旗掲揚)
10:00~ 海上レッスンのミーティング(セーリングハウス1階会議室)
・どのような練習をするか(スタートテクニック、タイミングの取り方など)
・スタート、マーク周りでの簡単なルール解説など
10:30~ 出港
11:00~13:00 海上でのスタート練習、最後に「上・下」のミニレース
13:00~14:30 帰港、昼食、艤装解除
14:30~15:30 ビデオを見ながら陸上講習(セーリングハウス1階会議室)
15:30 解散
【場 所】 福岡市ヨットハーバー セーリングハウス1階会議室及び博多湾
【参加資格】HYC会員と会員艇のクルー
【参加費】 一人500円(当日徴収)
【申込み】 参加希望の方は、艇名と人数を、5月31日(日)までにHYC会員様(艇のオーナー)から事務局へお申込みください。
《講師:高木 裕(ユタカ)氏の略歴》
大学時代にインカレ優勝、インカレ470級個人優勝、学生で初の470級全日本チャンピオン。国体優勝、アジア選手権優勝、ワールド7位、ロサンジェルスオリンピック470級日本代表11位。キールボートではジャパンカップ、鳥羽-パールレース、沖縄-東海レースなどで優勝多数。国際レースではハワイ・ケンウッドカップ、豪・シドニ-ホバートレース、米・トランスパックレースなどに数多く出場し優秀な成績を残す日本を代表するセーラー。
2015年4月19日(日)の第2レースは“翔風チーム”さんに本部船を担当していただきました。現在エンジン不調で修理中のため41フィートのヨットをお借りしての運営です。コースは博多湾口の「机島」を時計回りで回ってくる13マイルほどの距離です。天気は雨で南の風5~10ノットの予報でした。前日から雨の予報もあってか参加艇は17艇。午前11:00に全艇オールフェアでスタートし、一斉にスピン、ジェネカーが展開されスタボードタックのまま能古島寄りに進む艇、すぐにジャイブして西海面に伸ばす艇に分かれました。海面はほぼイーブンでしたが、結果としては西海面を選択した艇がリードしたようです。コース半ばの机島手前で風が止まって再スタート、帰りの能古島手前で再び風が止まって再スタートとなかなか難しい気象コンディションでしたが、終始西海面をトップ位置で走った“Humming bird Ⅴ”だけがいい風を掴み、無風に苦しむ他艇を尻目に貫録の走りでファーストフィニッシュ。修正でも堂々の1位を獲得しました。順風だと30フィートクラスでも2時間半から3時間くらいでフィニッシュするところを2時間10分ほどでフィニッシュ、2着の“MALOLO(ファースト40)”に1時間20分以上の大差を付けての圧巻の走りでした。
[以下は“翔風”K氏からのコメントです]
「翔風」がエンジン修理中で出港できないので、知り合いのジャヌー41をお借りして本部船を務めることとなったため運営メンバー4人は通常より30分早く8時にハーバー集合。前週に一度試運転していたので余り不安はなかったものの41フィート艇の操船に慣れていないメンバーなので、事前に艇の装備・計器類などの確認やレース用具の積み込みをしていたらいつの間にやら8時半を過ぎており、レース受付準備のためクラブハウス2階へと急ぐ。風の予報がSE~SSE8~10ノットとのことなので吉川レース委員長と協議して机島時計回り、11時スタート、17時タイムリミットと決定。レース受付開始して、天候が雨模様なので参加艇が少ないのでは…と心配したが結果的には総数17艇と何とか普通の規模までに到達して一安心。
東寄りの風だったため本部船より風下側のアウターマークをやや有利となるようスタートラインを設定。スタート時刻が近づくにつれ風が南へシフトして、しかも3~4ノットと弱まって行く中、11時ジャストにオールフェアでスタートを切る。微風の中、レース艇団はジェノアあるいはジェネカー、スピンを揚げて東方面と西方面とそれぞれの戦術に沿ってコースを選択している。この時点で本部船としては長期戦を覚悟し、雨も降っているのでとにかくキャビンでゆっくりしようということになる。41フィート艇のキャビンはさすがに広々としていて居心地はとても良く、これで酒とツマミがあれば楽しい宴会ができそうやねとか、こんな日にレースするのもしんどいね…とか雑談しながら昼食をぱくつき、食後のコーヒー飲み、中にはウトウトする者もいてすっかり寛いでしまう。
相変わらず小雨模様の微風状態なので、どんなに早くてもトップ艇は14時くらいだろうと予想していたところ、念のため12時半過ぎに視界の悪い沖合を双眼鏡で覗くと薄い船影をひとつ発見。このころになるとSEの風が少し強まったようで、みるみる内に近づいてきたのは「Humming birdⅤ」。何と13時10分15秒にダントツでフィニッシュ。後続艇は遠く沖合に3~4艇がやっと確認できるだけで、14時半過ぎに2番手のMALOLO、Bambino、Jetta、ENTERPRISE LILYと続いてフィニッシュラインを通過。そのような状況で「May be」が機走で本部艇に近づいてきたので、すわトラブル発生か…と緊張していたところ、メンバーの一人が出張の飛行機に間に合わないので急遽リタイアとのこと。我々と同じ宮仕えの境遇?のヨット乗りはつらいなと…同情しきりの本部艇でした。そうこうする内に風速も10ノット前後に上がり、後続のレース艇も次々に見え始め、15時21分06秒に最終艇がフィニッシュ。終わってみれば、意外と早く終わってしまった第2レースでした。皆さんお疲れ様でした。
博多湾をベースに活動する3つのヨットクラブ、玄海ヨットクラブ(GYC)、福岡ヨットクラブ(FYC)、博多ヨットクラブ(HYC)と福岡市ヨットハーバー管理事務所が合同で4月12日(日)に「クルーザー安全講習会」を開催しました(10:00~15:30)。 ※写真は左から順に経過を表しています。また画像をクリックすると拡大します。
ここ数年クルーザーヨットからの落水事故が頻発しています。「落水」は「死亡」に直結するきわめて憂慮すべき事態ですので先ずは落水しないことが肝心です。昨年2014年にはJSAF日本セーリング連盟が把握している範囲で国内では5件の落水事故が発生しています。昨年8月には相模湾で開催されたヨットレースにおいて71歳のヘルムスマンが強風によるブローチングで落水するという事故が発生していますが幸いにも約2時間後に捜索活動中の巡視艇に救助されて一命を取り留めました。他の4件においても幸いにも無事に救助されていますが、いずれも自艇での救助はできていません。海では安全には細心の注意を払っていても避けがたい突発的な状況に遭遇することがあります。いざという時に適切な対応ができるか否かでダメージを最小限に食い止めることができます。日ごろから安全への配慮に心がけるとともに正しい知識を身に着けておくことが大切です。昨年に続き今年もJSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長を講師にお招きして、クルーザーのオーナー、クルー75名の皆様に参加いただき安全講習会を開催しました。今年は博多湾内だけではなく佐賀市や唐津市、福津市からも参加がありました。会場内の一角にはハーバー内マリンショップ・シップチャンドラーさんの協力で、ライフジャケット、短めのテザー(ハーネスライン)、ヒービングライン、エマージェンシーライト、シーマーカー(着色剤)、落水者引き上げ用のテークル装置など安全装備品を展示・紹介するコーナーも設置しました。開講に先立ち、主催者を代表してハーバー施設管理者の立場から福岡市ヨットハーバー管理事務所上野所長、続いてヨットクラブを代表してGYC玄海ヨットクラブ末松会長の挨拶がありました。
午前の部は東京から来ていただいたJSAF日本セーリング連盟外洋安全委員会の大坪委員長から「安全意識と責任」「落水救助より落水しないこと」「ハーネステザーとライフジャケット」「最近の落水事故の実例」をテーマに講話をしていただきました。最近はレースやクルージングなど高齢者の割合が高く、航海術や操船技術の知識は豊富であるがとっさのときに頭では分かっていても体が付いて行かないという、加齢による体力の衰えを十分に認識しておくことも被害を防ぐために大切だとの話がありました。また安全訓練は事故後の対応であり、やはり事故前の対応(事故を起こさない対応)が重要であるとの話もありました。安全のためには帆走技術の向上が絶対のベースである、テザー(ハーネスライン)が船に繋がっていればいいというのは誤りで船の中に留まる(デッキから投げ出されない)ことが大事という話もありました。最後に各種テザー、ライフジャケット、落水者捜索機器の紹介と最近の落水事故の実例紹介がありました。
午後からは福岡市消防局救急課の救急救命士を講師に「救急救命の現状と対応」「心肺停止」「低体温」「心臓マッサージ・人工呼吸・AED取扱い」「脳卒中」について話をしていただきました。講習の最後には参加者による心臓マッサージの実技指導もありました。
続いて福岡海上保安部交通課の専門官から「落水事故」「遭難通報」「海上保安部の救助体制」「救助を待つ待機態勢」などについて話をしていただきました。事故に遭遇した時などの緊急通報では、通報手段として衛星携帯電話、船舶電話、国際VHFなどの通信機器があるが、ほとんどの皆さんが所持している「携帯電話」で「118番」をダイヤルすると海域を管轄する海上保安本部の指令センターに直接繋がります(福岡、佐賀、長崎、大分と山口の一部の海域は北九州市門司の第7管区海上保安本部)。携帯電話の通報が優れているのは発信者の位置が誤差5mほどで分かるため管轄する海上保安部(海上保安署)にただちに所要の態勢を指示することができます。荒れた海では巡視船・艇が直接ヨットに接舷することは極めて危険であるため、遭難者を救助するには通常はヘリコプターで行うとのこと。ただしヨットはマストや索具があるためヘリコプターから救助員を直接ヨット上に降ろすことができないなどの現場での苦労話もありました。何はともあれ「絶対に海に落ちてはダメ、海に落ちないようにすることが一番」ということでした。
室内での座学はこれで終了し火せんや信号紅炎など信号弾の発射・点火訓練のためディンギーヤード突端の岸壁に移動しました。先ずは海上保安部員から信号の種類と点火の要領の説明があり、受講者が実際に手に取っていよいよ点火します。最初はパラシュートフレアを発射します。パーンという音とともに信号弾が勢いよく上空に飛び出していきました。次は信号紅炎に点火しました。安全備品としてヨットに装備している信号弾ですが、ほとんどの方が使ったことがなく皆さん熱心に見守っていました。
最後に「落水者救助訓練」です。岸壁前のゲストポンツーンに係留した2艇のヨット(24フィート、33フィート)で落水が発生し、それぞれの方法でヨット上に引き上げる訓練を行いました。強風で波の高い海を帆走中に大きな横波を受けてヒールした際にクルーが落水したという想定のもとに落水者確保、引き上げまでの手順を実践しました。昨年は落水者役を元気のいい大学ヨット部の学生が務めましたが今年はよりリアル感を出すために50代男性と30代女性を起用しました。
1番艇は会員艇“Summertime”(24フィート)。落水者にライフスリングを投下しヨットに引き寄せて、4:1のテークルを組んだ引き上げ装置の一方の端をメインハリヤードに取り付けデッキ上2mほどの高さに固定し、反対側を落水者に取り付けて大人ひとりでテークルのロープを引き込んで吊り上げていく。かなり軽々と持ち上げることができました。
2番艇は会員艇“Freestyle”(33フィート)。落水者にライフスリングを投下しヨットに引き寄せて、メインハリヤードを直接落水者に取り付けてスターン部から引き上げました。こちらも比較的楽に引き上げることができました。
今回の安全講習会は「命」に関わることであり参加者全員が熱心に受講されていました。JSAF外洋安全委員長の話では「自分を守るのは自分でしかない」が大原則であり、海に落ちないこと、自分の今の体力を知っておくこと、消防救急課の話では心肺停止状態では素早い心臓マッサージ・人工呼吸を行うこと、低体温について理解しておくこと、「脳卒中」の疑いがあるときは時間が勝負なので躊躇せずに救急車を呼ぶこと、海上保安部の話では海に落ちないことが一番、遭難した時はすぐに118番に電話することなどがポイントでした。